2003 Fiscal Year Annual Research Report
核型雄性不稔遺伝子の網羅的解析とそれを利用した新規育種システムの開発
Project/Area Number |
03J07240
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有泉 亨 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / T-DNAタギング / 雄性不稔性 / エキシン |
Research Abstract |
本研究は、シロイヌナズナで蓄積されたゲノム情報を有効に活用して、核型雄性不稔遺伝子を解明し、それらの遺伝子を利用した実用の育種技術を開発することを目的としている。今年度は、スクリーニングした4つのシロイヌナズナの雄性不稔変異体(^*12、^*350、^*711、^*954)の解析を行った。 ^*12 この変異体は雄性不稔性を示したが、高湿度条件下で稔性が回復した。花粉表面を観察すると滑らかな花粉表面を持ち、エキシンの網目模様がほとんど見られなかったので、faceless pollen-1 (flp1)変異体と名付けた。T-DNAの隣接配列をクローニングしたところ、WAX合成関連遺伝子のcer遺伝子などと相同性が見られ、サザン分析を用いてT-DNAと遺伝子の連鎖を確認した。茎のWAXも著しく減少していた。相補性実験によりクローニングしたflp1遺伝子が原因遺伝子であることを証明した。 ^*350 この変異体は花粉が完全に崩壊する変異体であった。エキシンの構成要素であるスポロポレニンの付着、重合の足場となるプライムエキシンが正常に形成されないことにより花粉が崩壊することがわかった。エキシンが見られないために、no exine formation 1 (nef1)変異体と名付けた。T-DNAの隣接配列をクローニングしたところ、既知の遺伝子とは相同性を示さない新規の遺伝子であった。サザン分析を用いてT-DNAと遺伝子の連鎖を確認した。相補性実験によりクローニングしたnef1遺伝子が原因遺伝子であることを証明した。 ^*711 この変異体は、2細胞期にタペート組織が異常に空胞化し、花粉発達が停止する変異体であった。プライムエキシンは正常に形成されないが、スポロポレニンは小胞子に付着していた。ギザギザの花粉になるのでhackly microspore (hkm)変異体と名付けた。hkm変異はT-DNAにタグされていなかったため、原因遺伝手のクローニングに至っていない。 ^*954 この変異体は可稔個体と不稔個体が3:1で出現せず、複数の遺伝子が関与している可能性が示唆された。またこの変異もT-DNAにタグされておらず、原因遺伝子のクローニングに至っていない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tohru Ariizumi et al.: "A novel male-sterile mutant of Arabidopsis thaliana, faceless pollen-1, produces pollen with a smooth surface and an acetolysis-sensitive exine."Plant Molecular Biology. 53・1. 107-116 (2003)