2004 Fiscal Year Annual Research Report
核型雄性不稔遺伝子の網羅的解析とそれを利用した新規採種システムの開発
Project/Area Number |
03J07240
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有泉 亨 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロイヌナズナ / T-DNAタギング / 雄性不稔性 / エキシン / アブラナ科野菜 |
Research Abstract |
前年度に未解析であった残りの2系統(#711,#954)の雄性不稔変異体の解析を行った。 #711・・電子顕微鏡下での花粉発達解析の結果、この変異体は花粉壁(エキシン)合成に異常があることがわかった。この変異体では四分子期にプライムエキシンが薄く、エキシン構成要素のスポロポレニンは小胞子に付着したがプロバキュラは形成されなかった。ギザギザの小胞子を持つ小胞子が形成されたので、hackly microspore (hkm)と名付けた。小胞子は発育後期に消失した。タペート組織の電顕観察を行ったところ、空胞化していた。遺伝子破壊により雄性不稔になることが報告されていたms1変異体と類似していたため、MS1遺伝子について照査したところ、hkm遺伝子にSNPが検出でき、交配実験によりMS1のアリルであることが明らかとなった。プライムエキシン形成が胞子体型に支配されていることが明らかになった。 #954・・この変異体は雄性不稔性を示すのと同時に花糸伸長欠陥、dark greenの葉、矮性、開花の遅れ、reduced apical dominanceなどの栄養器官における欠陥も確認された。作られた花粉を自殖させると正常な種が作られたことから、雄性不稔性の原因は花粉の稔性ではなく、花糸の伸長欠陥に起因すると考えられた。しかし、この変異体の葯発達をTEMで観察した結果、プライムエキシン形成のタイミングが遅れ、一核期には球状のスポロポレニンの塊がランダムに小胞子に付着していたことが分かった。しかし、後のステージでこの塊が完全なエキシンへと変化した。栄養器官の表現型より、植物ホルモンの1つであるブラシノステロイドの変異体と推測され、このホルモンの合成に関わる遺伝子についての塩基配列を変異体で解析したところ、合成に関わるDET2遺伝子中に7塩基の欠失があることが分かった。
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Research Products
(3 results)