2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子欠損マウスを用いたオキシトシン/オキシトシン受容体システムの解析
Project/Area Number |
03J07250
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高柳 友紀 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オキシトシン / 受容体 / 遺伝子欠損マウス / 分娩 / プロスタグランジン / 肥満 |
Research Abstract |
1.オキシトシン(OT)と同様に子宮収縮に働くプロスタグランジンF_<2α>の受容体(FP)とOTの両遺伝子欠損マウス(fp-/-・ot-/-)では、分娩直前に卵巣黄体ホルモンであるプロゲステロンの低下が起こらないために自然分娩が誘起されなかった。そこで、これらに対して分娩直前にプロゲステロン受容体アンタゴニストのRU486を投与したところ、分娩が正常に誘導される事が明らかとなった。これによって、子宮収縮に最も重要と考えられてきたFP,OTの二つの因子がなくともプロゲステロン受容体の効果が減少する事で分娩が開始されるという興味深い結果が得られた。ところが一方で、fp-/-・ot-/-では分娩の完了に24時間以上を要する個体が70%程度と非常に高い割合で認められた。これによって、FP,OTは分娩時の子宮筋収縮に相補的に働き、重要な役割を果たす事が示唆された。 2.OT/OTRは摂食行動の抑制に働く事が以前より示されていたため、雄otr-/-の示す肥満は摂食行動異常に起因する可能性が最も高いと予測された。そこで、雄otr-/-について摂食量と活動量の測定を行った。肥満を示すより以前の週齢で24時間の摂食行動をモニターし、その摂食量と摂食パターンの検討を行った。しかし、otr-/-の摂食行動は慨日リズムも含めて正常である事が明らかとなった。また、同様に活動量についても変化がなかったため、otr-/-の肥満の原因はこれら以外にある事が明らかとなった。一方で、雄otr-/-は内臓脂肪型肥満を呈するため、代謝に異常をきたしている可能性が考えられた。そこで、20週齢の雄について血糖値や血中トリグリセライド値・コレステロール値・遊離脂肪酸値などを各々測定し、更に経口糖負荷試験も行った。ところが、これら全てにおいてotr-/-は正常値を示し、また耐糖能も正常である事が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)