2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域エネルギー需給システムの最適設計と環境政策オプションの検討
Project/Area Number |
03J07305
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Research Institution | Tohoku University |
Research Fellow |
芦名 秀一 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エネルギー・経済モデル / 地球温暖化 / エネルギー政策 / 地方自治体 |
Research Abstract |
1.岩手県の特性を反映したエネルギー政策の策定 岩手県のエネルギーシステムの特徴をもとにして、岩手県に適したエネルギー政策を立案した。 岩手県のエネルギー需給構造は、民生部門と運輸部門の占める割合が大きい。産業部門は窯業・土石業と製鉄業に大きく偏重している。そこで、岩手県においては、民生部門に対する省エネルギー政策と、運輸部門におけるモーダルシフト政策を立案した。 さらに、エネルギーシステムすべてに関わる政策として環境税政策を立案した。 2.政策オプションの評価 1.で策定した政策を対象として、本研究で開発した地域エネルギー・経済モデルを用いてエネルギー消費量、CO_2排出量、岩手県財政および家計に及ぼす影響を評価した。 民生部門にて省エネルギー政策を講じても、依然として灯油がエネルギー消費の中心となる。これは、岩手県ではエネルギー消費量に占める暖房需要の割合が大きく、省エネルギーによっても大きく変化しないためである。 省エネルギー政策により、CO_2排出量は減少して、BAUケース比-2%の削減が達成される。補助金を交付する場合には、BAUケース比-10%まで削減されることが明らかとなった。 省エネルギー政策により、1世帯あたりのエネルギー支出は年間23万円から21万円へと低下することが明らかとなった。 岩手県の年間支出額と民生部門のCO_2削減量の関係をみると、省エネルギー政策の中でも需要抑制対策により、少ない歳出により大きくCO_2排出量が削減される。いっぽう、省エネルギー政策のうち高効率機器への転換では歳出額が増加しても、CO_2排出量はそれほど削減されない。岩手県の費用対効果の観点から見ると、家庭部門に対しては、エネルギー消費量の削減量に応じて補助金を交付する方が、高効率機器の購入に対して補助金を交付するよりは効果的であることが明らかとなった。
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