2003 Fiscal Year Annual Research Report
電気的なスピン偏極電子注入によるスピン電界効果トランジスタの実現
Project/Area Number |
03J07323
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
好田 誠 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピン注入 / GaMnAs / トンネルダイオード / ファラデー回転 |
Research Abstract |
【GaMnAs/n^+-GaAsトンネルダイオード(TD)構造を用いた電気的電子スピン注入における構造依存性】 非磁性半導体への電気的電子スピン注入における偏極率向上を目指し試料構造依存性を調べた。評価したパラメータは、GaMnAs/n^+-GaAsTDから発光ダイオード(LED)構造にスピン注入した際のTDとLEDを隔てるn-GaAs層の膜厚、ドーピング濃度に関して行なった。 1)ドーピング濃度依存性:スペーサ層厚は一定でドーピング濃度が1×10^<17>cm^<-3>、1×10^<18>cm^<-3>、1×10^<19>cm^<-3>の試料の偏光率を測定した所、ドーピング濃度が高くなるにつれて偏光率は減少した。この原因の一つにスペーサ層のドーピング濃度が高くなることでイオン化不純物散乱に伴うスピン緩和(Elliott-Yafet機構)が増大したと考えられる。よってスピン注入後非磁性半導体中において長い間スピン偏極状態を保持するには適切なドーピング制御が必要であることがわかった。 2)スペーサ層膜厚依存性:1)からスペーサ層ドーピング濃度を1×10^<17>cm^<-3>に固定し、100nmから800nmまで膜厚を系統的に変化させた試料の偏光測定した所、得られた偏光率はほぼ一定であった。よって調べたスペーサ層膜厚領域において、輸送距離の増大に伴うスピン緩和の影響は小さいことがわかった。 【ファラデー回転を用いたスピン偏極電子検出方法の確立】 半導体中のスピン偏極電子をプローブ光(レーザー)のファラデー回転(FR)により検出する方法は、LED構造を作製する必要がないため、デバイス構造とは独立にスピン偏極測定が可能となる。我々は(110)GaAs上にInGaAs/GaAs多重量子井戸を成長した。円偏光励起FR検出法によりFR角は磁場依存性、励起光エネルギ依存性を示しFRによってスピン偏極電子の検出が可能であることを示した。
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