2004 Fiscal Year Annual Research Report
電気的なスピン偏極電子注入によるスピン電界効果トランジスタの実現
Project/Area Number |
03J07323
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
好田 誠 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピン注入 / GaMnAs / トンネルダイオード / スピン緩和 |
Research Abstract |
【GaMnAs/n^+-GaAsトンネル接合を用いた電気的な高スピン偏極電子スピン注入の実現】 非磁性半導体への高スピン偏極率電子スピン注入はスピン電界効果トランジスタなどの応用デバイス実現に向け必要不可欠な基盤技術となる。本年度はスピン注入層となるGaMnAs/n^+-GaAsエサキトンネル接合におけるn^+-GaAs層の膜厚・ドーピング濃度依存性を調べ、最大69%もの高いスピン注入率を得た。GaMnAsのスピン偏極率は実験的に85%以上であることから、GaMnAsからn^+-GaAsへのバンド間トンネルによりGaMnAsのスピン偏極率を反映した高効率なスピン偏極電子注入が実現できた。試料構造は、膜厚が8、10、15、20nmおよびドーピング濃度が0.6、1.0、1.5×10^<19>cm^<-3>の系統的な異なるトンネル接合を成長し、その接合下部に注入されたスピン偏極電子を発光の偏光として検出するためのp-AlGaAs/p-GaAs/n-AlGaAs発光ダイオード構造を作製した。それらを用いて偏光率のバイアス依存性、磁場依存性を調べた。全ての試料においてバイアス依存性を示し、偏光率の最大値はn^+-GaAs膜厚が薄い方が、そしてドーピング濃度の低い方が高い値が得られることを明らかにした。 【量子井戸内における光励起スピン偏極電子の電界効果】 InGaAs/GaAs多重量子井戸におけるスピン偏極電子の電界効果についてファラデー回転を用いて調べた。試料構造はGaAs(110)基板上に、スピン偏極電子を検出するため5周期10nm i-In_<0.08>Ga_<0.92>As/10nm i-GaAs多重量子井戸と、その上に光励起スピン偏極電子生成のため1μmi-GaAsを成長した。1μmi-GaAs中に生成された光励起スピン偏極電子は外部電界により量子井戸に輸送される。一定バイアス下で量子井戸内に蓄積されたスピン偏極電子の外部磁場依存性から井戸内における規格化された電子スピンライフタイムg^*T_s(g^*:g因子/T_s:スピンライフタイム)の測定を行った。その結果、外部電界V>-4Vで電界の増大に伴いg^*T_sが3.7×10^<-10>secから1.5×10^<-10>secまで減少した。これより井戸内に蓄積されたスピン偏極電子は外部電界によりスピン緩和することを明らかにした。
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