2005 Fiscal Year Annual Research Report
急速加熱による直接還元鉄新製造プロセスのメカニズム解明
Project/Area Number |
03J07355
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 光一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 直接還元鉄製造プロセス / 急速加熱 / 浸炭・溶融機構 / スラグ融液 |
Research Abstract |
現在世界的に製鉄法の主軸である高炉・転炉一貫製鉄法は、設備費、環境、生産弾力性、原燃料選択のフレキシビリティーが低い等の問題を抱えている。これら諸問題を補完するべく開発されつつある新鉄源製造法の一つに、粉鉱石と粉炭を混合した原料を急速加熱し短時間で銑鉄と同等の品位を得るという直接還元鉄製造プロセスがある。このプロセスは、エネルギー消費や排出CO_2量の削減が可能であるなどの理由から、今後広く普及すると考えられる。しかしながら原料の急速加熱に伴い生じている様々な現象のメカニズムは未だ大部分が不明である。 本研究ではプロセス全体のエネルギー消費を大きく左右すると考えられる、石炭から還元鉄への浸炭現象メカニズムの解明、溶融スラグによるプロセス炉床耐火物の浸食からの保護、低品位鉄鉱石の利用による原料選択性の向上を目的とした研究を計画している。 昨年度までに、スラグからの炉床耐火物保護については、炉床保護に用いられる粒状炭材の粒径制御が最も有効であるとの操業の指針を示すに至った。 本年度は、石炭から還元鉄への浸炭現象メカニズムの解明について、これまでに明らかにした「スラグを介した浸炭反応」が、鉄-固体炭素の直接接触による浸炭反応にどのような影響を与えるかについて検討を行った。その結果、低融点、高塩基度、高Fe_t0濃度のスラグ融液を、鉄粉-黒鉛粉から成る混合圧粉体試料中に共存させることで、それを共存させなかった試料に比べ、最終的に得られる粒状銑鉄の炭素濃度が上昇する現象を見出した。本現象は、スラグ融液の共存により「スラグを介した浸炭反応」が、鉄粉-黒鉛粉間の浸炭反応に有利に作用した結果であると推察された。 以上の結果から、鉄鉱石中脈石成分・石炭中灰分を多く含み、これまで低品位とされてきた原料が、本プロセス中浸炭現象を有利に進めるための、スラグ融液生成を伴う原料として、有効に利用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)