2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07376
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
昆 靖郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNAマイクロアレイ / 光応答性DNA修飾電極 / メチレンブルー / グルタチオン / 静電相互作用 / 金微粒子 / 微粒子凝集 / 表面電荷 |
Research Abstract |
DNAマイクロアレイは高速な遺伝子発現プロファイリングを可能にする反面、得られるデータは誤差が非常に大きい。これに対し、電気化学応答に基づくDNA検出法は精度、感度に優れるが、集積化が難しいためハイスループットな検出が困難である。申請者はこれらの検出手段が持つ欠点を一気に解決できる方法として、光応答性DNA修飾電極を考案した。申請者がすでに作成に成功している、メチレンブルーを用いた光応答性DNA修飾電極は、電極が容易に作成できるという利点を有しているが、より高精度精度な応答を得るために、DNA検出試薬としてメチレンブルーに代わり、金微粒子をDNAに導入することを試みた。 本研究では、金微粒子の表面にキレート性を有する生体タンパクであるグルタチオンを修飾した、グルタチオン修飾金微粒子の作成を試みた。グルタチオン修飾金微粒子に金属イオンを添加することで、その表面電荷を制御し、静電相互作用によりDNAに結合させることができると予想されることから、グルタチオン修飾金微粒子とアルカリ土類金属イオンとの相互作用について検討を行った。グルタチオン修飾金微粒子溶液中のアルカリ土類金属イオン濃度を増大させると、溶液の色が赤色から青色へ急激に変化するしきい値濃度の存在が確認され、微粒子凝集が起こるしきい値濃度は、Sr^<2+><Ba^<2+><Ca^<2+><Mg^<2+>の順であった。凝集した微粒子溶液にEDTAを添加すると微粒子が再分散することから、微粒子表面においてグルタチオンとアルカリ土類金属が錯生成した結果、微粒子が凝集することが示唆された。原子吸光法を用いて、錯生成量と微粒子凝集との相関関係について検討したところ、Mg^<2+>添加時に、微粒子が凝集することなく、金微粒子の表面電荷を制御できる可能性が示唆された。これにより、グルタチオン修飾金微粒子とDNAを、Mg^<2+>を介して容易に結合できることが予想される。
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