2004 Fiscal Year Annual Research Report
根の水分屈性発現機構の解明とそれを利用した植物の生長制御法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03J07394
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 啓恵 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水分屈性 / 根 / 重力屈性 / シロイヌナズナ / 突然変異体 / 波形成長 / 光屈性 / 植物の生長制御 |
Research Abstract |
今日、地球環境の変動にともない、砂漠等の特殊環境における植物育成が課題となっている。とくに、乾燥地域における植物育成では、水を効率的に活用する植物の育成法を確立する必要がある。そこで、本研究では、水分勾配を感受して水分の多い方へ伸長方向を制御する根の水分屈性に着目し、その制御分子と制御機構を解明することによって、根の水分屈性を利用した植物の生長制御法を開発する基礎を構築する。そのために、これまで、シロイヌナズナの水分屈性実験系を確立した。その実験系を用いて、水分屈性の異常な突然変異体(root hydrotropism : rhy)を単離し、3系統のrhyについて特性を解析した。 本年度は、rhy1、rhy2、rhy3の特性の解析結果より、水分屈性を全く示さないrhy1が、水分屈性の分子機構を重力屈性や光屈性と分離して解析する上で有用であると考え、その変異原因遺伝子の同定を試みた。CAPS法とSSLP法を用いて解析した結果、突然変異原因遺伝子は、第二染色体上長腕の約200kbpの領域に座乗していると推定された。このマッピング法で絞り込んだ領域内には、52の遺伝子が存在していたので、それらすべてのORFについて塩基配列を野生型と比較した。その結果、rhy1の変異原因遺伝子の候補となる遺伝子を見出すことに成功した。この候補遺伝子が原因遺伝子であるかを明確にするため、野生型から候補遺伝子をクローニングし、形質転換体を作出するためのコンストラクトを作成し、Agrobacterium法による形質転換体の作出を行っている。また、RHY1の発現パターンや発現部位を明らかにするため、RT-PCR法やin situ法、抗体染色法を用いて解析する予定である。
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