2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質分裂におけるアクチン細胞骨格の制御機構の解明
Project/Area Number |
03J07398
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶 紀子 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞質分裂 / コフィリン / LIMキナーゼ1(LIMK1) / Slingshot(SSH) |
Research Abstract |
アクチン細胞骨格の主要な制御因子であるコフィリンは、細胞質分裂への関与が示唆されている。コフィリンの活性は、コフィリンキナーゼであるLIMキナーゼ1(LIMK1)とホスファターゼであるSlingshot(SSH)によるリン酸化、脱リン酸化により制御されている。これまでに、細胞分裂期にコフィリンのリン酸化レベルが変化すること、またLIMK1、SSHがリン酸化され活性が変化することを明らかにしており、LIMK1とSSHによるコフィリンのリン酸化レベルの調節によるアクチン細胞骨格の制御機構が推測される。LIMK1、SSHの活性変化を制御するシグナル経路の解明や、コフィリンのリン酸化レベルの変化の生理的役割の解明は、細胞分裂におけるアクチン細胞骨格の制御機構を明らかにするうえで重要であると考えられる。そこで私は分裂期にLIMK1、ISSHをリン酸化するキナーゼとそのリン酸化部位の解析をおこなった。分裂期の細胞抽出液を用いてin vitroでこれらをリン酸化できる実験系を確立し、SSHのリン酸化部位はC末端側に存在することを明らかにした。Cdc2キナーゼは分裂期の主要な制御因子であることから、Cdc2キナーゼがSSH、LIMK1をリン酸化している可能性について検討し、in vitroでCdc2キナーゼにより、これらが直接リン酸化されることを明らかにした。また、細胞分裂におけるコフィリン、LIMK1、SSHの役割を解析するため、緑色蛍光蛋白質(YFP)を利用して生細胞での細胞質分裂の経時観察を行ない、コフィリン、SSHが分裂溝に集積すること、野生型LIMK1およびSSH不活性型変異体の過剰発現は細胞質分裂の最終段階を阻害することを明らかにした。これらの結果はLIMK1およびSSHによるコフィリンのリン酸化レベルの調節が細胞質分裂に重要であることを示唆している。
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Research Products
(1 results)