2005 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の自家不和合性遺伝子座に存在するレトロトランスポゾンの発現解析
Project/Area Number |
03J07412
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤本 龍 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自家不和合性 / レトロトランスポゾン / アブラナ科 / 分子生物学 / ゲノム構造 |
Research Abstract |
アブラナ科植物の自家不和合性は一つの遺伝子座(S)を想定することで説明されている。自家不和合性反応はS遺伝子座に遺伝子が座乗する柱頭側の認識分子SRKと花粉側の認識分子SP11の相互作用による。同じくS遺伝子座にあるSLGは、SRKの細胞外ドメインと相同性が見られる。F_1品種‘CR清雅65'(S-46/S-54)の自殖分離集団の中から、5つの自家和合性個体(S-54ホモ)が得られた。S-54の自家和合個体と自家不和合個体の相互交配の結果、和合性の原因が柱頭側にあることが明らかとなった。連鎖解析から和合性の要因がSと連鎖していることが明らかになった。柱頭側の認識因子であるSRKの発現量に差は見られなかったが、SLGからSRKへのgene conversionが生じていた。以上の結果から、自家和合性の原因は、gene conversionによって生じたSRKがSP11を認識できなくなったためであると考えた。 アブラナ科植物から、DNAのメチル化に関与すると考えられる遺伝子、BrMET1a、BrMET1b、BrCMT、BrDDM1を単離した。このうち、BrDDM1の配列を元にRNAiのコンストラクトを作成し、形質転換体の作成を行い、11個の独立した形質転換体を得た。形質転換体ではメチル化の程度の低下が確認され、その程度は個体間で異なった。メチル化の低下の程度が1番大きかった形質転換体の表現型はWTと変わらなかったが、WTで発現しないことを確認しているレトロトランスポゾンの発現が誘導されていた。このレトロトランスポゾンのメチル化程度を形質転換体とWTで比較したところ、形質転換体でDNAのメチル化の程度が低下していたことから、このレトロトランスポゾンの発現誘導は、メチル化レベルの低下により起こったと考えられた。
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Research Products
(3 results)