2004 Fiscal Year Annual Research Report
ツチガエルの季節的性比シフト:父親による調節仮説と生活史雌雄差仮説の検証
Project/Area Number |
03J07436
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
向坂 幸雄 信州大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性比調節 / ツチガエル / Rana rugosa / 齢査定 / 生活史 / 季節変化 / 画像解析 / 数理モデル |
Research Abstract |
本年度は、静岡、新潟両集団でのツチガエル個体群の齢構成を解析する為に、5月から8月にかけて生息地で繁殖集団をなす成体を捕獲した。体長、体重などの体サイズデータを取ると共に、繁殖活動への参加の状態を確認し、個体識別のためのマーキングとして足指を欠刻法により数本ずつ切除した。その際に得られた指先を研究室に持ち帰り、凍結ミクロトームを用いて切片標本を作製することで、齢査定を実施した。体サイズ、繁殖への参加状況を齢情報と合わせることで、生活史を推定することができる。現在、その結果を集団ごとにまとめ、それぞれの集団での繁殖パラメーターの特徴を検出すべく解析を行っている。また、幼生期の成長速度について、集団間の違いを検出する為、それぞれの集団で採集した幼生を飼育下で体長測定するシステムを開発し、一定条件下で画像解析を行うことによってツチガエルの幼生の成長速度をある程度正確に評価できるシステムを作り上げる目途をつけることができた。この方法で得られるデータから、適合する成長速度関数を導き、それぞれの集団固有の成長パターンを検出する見込みがついた。この装置を簡略化することで、それぞれの集団での野外での成長度合いを、生息地に出向いて定期的に採集、測定することで評価できるように現在改良中である。8月には、釧路で開催された日本生態学会51回大会において、生活史雌雄差仮説に関する数理モデルの発表を行い、多くの方々から貴重な意見を得ることができた。これらの調査研究と平行して、生活史の雌雄差が進化的に安定条件になるかを検討した論文を国際誌に投稿し、現在審査中である。
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