2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07500
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 健太 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Nekrasov方程式 / Stokes極限波 / 数値的検証法 / 大域的一意性 / 水面重力波 / 積分方程式 |
Research Abstract |
我々は既に、数値的検証法を用いることにより水面重力波の運動を記述したNekrasov方程式について、ある一定のパラメータ範囲において大域的な一意性を証明している。今年度においては、まずはこのパラメータ範囲を拡大することを目的とした。Nekrasov方程式にはμというパラメータが入っており、μが大きくなるほど解の非線形性が強くなり数値的検証法の適用が難しくなる。いままではμが40までの範囲においてしか検証が成功していなかったのを、プログラムの効率化と評価式の改良で170まで検証することができた。理論的な側面からはμが10^3程度もしくはそれ以上の場合に興味があるのだが、そういう大きなμについて検証を成功させる前段階としてはまずは170まで検証できたことは意味がある。 以上の研究と平行して、我々は同じ方法を用いてStokes極限波の大域的な一意性を証明することに取り組んだ。Stokes極限波は、Nekrasov方程式の解が表現する波のμ→∞の時の極限に相当し、いわゆる頂点の尖った波を表している。この波は微分が不連続になるためにNekrasov方程式に比べて扱いが非常に困難である。我々は、特異積分のより精密な評価と、解のより良い近似方法を用いることにより数値的検証法によって解の範囲を限定し、更には縮小写像の原理によって解の一意性を証明することができた。 Stokes極限波についてはStokes' conjectureと言われる未解決問題がある。これは、Stokes極限波が頂点を除いて下に凸であるという予想である。この問題に対しJ.F.Tolandは、下に凸であるようなStokes極限波が存在することを示した。よって我々の証明したStokes極限波の一意性は、そのままStokes' conjectureの証明にもつながることになる。よって非常に意味のある結果であると言える。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Kobayashi: "A remark on the Fast Gauss Transform"Publication of RIMS. (to appear).
-
[Publications] K.Kobayashi: "Numerical verification of the global uniqueness of a positive solution for Nekrasov's equation"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 22(in press). (2004)