2005 Fiscal Year Annual Research Report
底質移動機構における吹送流の影響と新たな3次元海浜変形モデルの構築
Project/Area Number |
03J07554
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Research Institution | Independent Administrative Institution Port and Airport Research Institute |
Principal Investigator |
鵜崎 賢一 独立行政法人港湾空港技術研究所, 海洋水工部漂砂研究室・任期付き研究官
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 由行 独立行政法人港湾空港技術研究所, 海洋・水工部・沿岸環境領域, 領域長
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Keywords | 掃流砂 / 浮遊砂 / 風波 / 吹送流 / 定量化 |
Research Abstract |
底質の移動機構については古くから数多くの研究がなされてきたが,その多くは波のみが存在する場を対象としたものであった.近年になって,流れの影響を調べた研究例がいくつか見られるようになった(佐藤ら,1984;渡辺ら,1994;Sanaら,1995)が,吹送流に着目した研究例は数少ない.暴浪時の浅海域では,波によって巻き上がった底質の輸送という点で,吹送流の影響は非常に大きいものと考えられる.事実,山下ら(1998)は現地観測結果をもとに,冬季季節風下における海浜流には波浪流と吹送流とが同程度の寄与率で混在していることを示している.加藤ら(2004)は,そうした知見をもとに吹送流の影響を考慮した海浜変形シミュレーションを行ったが,観測結果の定量的な再現には至っていない.漂砂が激しく生じる砕波帯では浮遊砂が卓越していると考えられ(柴山ら,1993),とくに暴浪時の短期的な海浜変形を精度よく予測するためには,まず浮遊砂の輸送量を精確に評価することが必要である.そこで本研究では,長さ32mの大型風洞付き造波水槽を用い,風波と吹送流の共存場において浮遊砂濃度分布と平均流速分布を実験的に調べ,理論的考察をもとに浮遊砂輸送量の定量的評価を行った.拡散係数D_zをzの二次関数と仮定すると,拡散方程式から浮遊砂濃度Cはzのべき乗解として得られる.その鉛直変化率αはフルード数u_<*s>/(sgh)^<1/2>に依存し,底面近傍の濃度C_aはシールズ数に依存する.渦動粘性係数v_zもzの二次関数と仮定すると,平均流速u^^-の理論解が得られ,水表面における摩擦速度u_<*s>は断面平均風速Umに依存する.これらの結果から,Cとu^^-の定量的評価を行うことができる.また,Cとu^^-から得られる浮遊砂輸送量はαに依存し,本研究では常に沖向きの輸送量が岸向きの輸送量を上回る.以上により,風波と吹送流の共存場における浮遊砂輸送量を定量化した.
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Research Products
(1 results)