2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム蛋白質マトリクスの性質を生かした反応活性種の新規合成とその反応性の探索
Project/Area Number |
03J07571
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 貴史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生物無機化学 / 再構成 / ミオグロビン / 酸素親和性 / ESR / コバルト / プロピオン酸 |
Research Abstract |
ミオグロビンは、プロトポルフィリン鉄錯体(ヘム)を補欠分子とする酸素貯蔵蛋白質であり、その機能向上・改変の一手法として、ヘムを有機合成で得られた補欠分子に置き換える「再構成法」がある。16年度において、プロピオン酸基を2つ有するポルフィセン鉄錯体を補欠分子とする「再構成ミオグロビン」が高い酸素親和性を示すことを見出している。17年度では、その原因を明らかにするために、ESR測定が可能なコバルトポルフィセンを有する再構成ミオグロビンを調製し、その性質を評価した。コバルトポルフィセン再構成ミオグロビンも、鉄錯体と同様、酸素分子の解離速度が小さく、その結果、コバルトポルフィリンを有する再構成ミオグロビンと比べて、酸素親和性が大きく向上していることが明らかとなった。このことは、ポルフィセン再構成ミオグロビンの高い酸素親和性の理由の1つは、ポルフィセンの骨格構造であることを示している。コバルトを有するミオグロビンの還元状態でのESR測定では、ポルフィセンの対称性の低い骨格構造を反映したスペクトルが得られ、また軸配位子方向の電子状態への摂動が大きくなっていることが示された。また、酸素結合状態でのESR測定より、コバルトポルフィセンミオグロビン酸素錯体におけるコバルト-酸素結合の結合様式は、コバルト-スーパーオキシドアニオンと記述できることが見出された。更に、プロピオン酸の位置の異なるポルフィセン鉄錯体を有する再構成ミオグロビンについても、リガンド結合挙動を検討し、プロピオン酸基の位置も、再構成ミオグロビンの高い酸素親和性の重要な因子であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)