2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07573
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田丸 俊一 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超分子化学 / 水性ゲル / 酵素 / 界面活性剤 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
界面活性剤を用いて酵素内包シリカナノカプセルを創製するに当たって、界面活性剤共存下でマイクロ・ナノ空間に封入された酵素が示す物性を評価するために、非イオン性界面活性剤が形成する超分子型水性ゲル中に様々な酵素を封入し、その活性を評価した。いずれの酵素も水性ゲル中で水溶液系において観測されるものと同等の活性を保持していることが確認された。この酵素に対する阻害剤活性の評価では、小分子型およびタンパク質型阻害剤のいずれにおいても本来の酵素阻害能が保たれていることが確認された。また、界面活性剤が形成する水性ゲルの組織は疎水場を形成しており、酵素による分解の結果生じる基質断片をその疎水場に取り込むことが可能であった。この性質を利用して、環境応答性色素を利用した酵素活性の検出系を創製することに成功するとともに、酵素反応により界面活性剤組織上で蛍光共鳴エネルギー移動を発現する、より高度な材料の創製にも成功した。以上の結果から、界面活性剤は酵素内包シリカナノカプセルの創製に有効であるだけでなく、適切な界面活性剤を選ぶことで、酵素と界面活性剤が持つ機能が融合した、より高度な機能を発揮する生物材料の構築が可能であることが示唆された。さらに、この水性ゲルを媒体とすることで、さまざまな酵素を安定かつ簡便に基板上に固定化することに成功した。これにより、タンパク質の機能を高効率的に解析可能な材料の構築が可能であることが示された。この結果を踏まえ、酵素内包シリカナノカプセルを基板上に固定することで生化学的研究にも貢献する生物材料が構築できるものと期待される。
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