2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07573
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田丸 俊一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超分子化学 / 水性ゲル / 酵素 / 界面活性剤 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
界面活性剤を用いて酵素内包シリカナノカプセルを創製するに当たって、界面活性剤共存下でマイクロ・ナノ空間に封入された酵素が示す物性を評価するために、非イオン性界面活性剤が形成する超分子型水性ゲル中に様々な酵素や人工ホスト分子を封入し、その特性を評価した。酵素を封入した水性ゲルでは、いずれの酵素も水性ゲル中で水溶液系において観測されるものと同等の活性を保持していることが確認された。この酵素に対する阻害剤活性の評価では、小分子型およびタンパク質型阻害剤のいずれにおいても本来の酵素阻害能が保たれていることが確認された。また、界面活性剤の会合体が構築する疎水場を利用することで、酵素活性を様々な蛍光変化として検出する手法を確立した。以上の結果から、界面活性剤は酵素内包シリカナノカプセルの創製に有効であることが示唆された。人工ホスト分子を封入した水性ゲルでは新たな分子認識系の構築に成功した。ジピコリルアミン亜鉛錯体は、水中で種々のリン酸種と高い親和性を持って錯形成するホスト分子である。ここで、ホスト分子単独の状態と比較した錯体の親水性は、ゲストであるリン酸種に依存して変化するため、人工糖脂質の繊維状会合体が形成した超分子水性ゲル中では、ホスト分子の水相・疎水場間の分配比が錯形成前後で変化する。この特性を利用して、超分子水性ゲル中で環境応答性色素導入ホストによる親水性ベースでのリン酸種識別に成功した以上の結果をふまえ、この水性ゲルを媒体とすることで、さまざまな酵素や人工ホスト分子を安定かつ簡便に基板上に固定化することに成功した。これにより、様々な生体内現象を高効率的に解析可能な材料の構築が可能であることが示された。この結果を踏まえ、酵素内包シリカナノカプセルを基板上に固定することで生化学的研究にも貢献する生物材料が構築できるものと期待される。
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