2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07576
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前園 泰徳 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 外来種 / 在来生物群集 / 奄美大島 / マングース / クマネズミ / 捕食 / 希少種 / 相互関係 |
Research Abstract |
本研究では鹿児島県奄美大島において、1、外来種と在来種間の相互関係を特に間接効果に注目して明らかにし,2、多数の生物を対象とすることのできる食物網モデルを構築することによって,在来生物群集へのマングース駆除の影響を予測することを目的とした。 今年度は上記の目的1を明らかにするために、(1)奄美大島に8ヶ所調査プロットを設け、クマネズミの標識再捕獲とセンサーカメラによる撮影を行い、各地点における生息密度を求め、(2)捕獲したクマネズミの胃内容調査から食性を明らかにし、(3)各調査プロットにおける、爬虫類、昆虫、昆虫外の無脊椎動物のセンサスを行ってこれらの生物とクマネズミのバイオマスの間の関係を推測した。 今年度の調査の結果、(1)の捕獲調査では奄美大島において、クマネズミの推定生息密度が非常に高い地点から全く生息が認められなかった地点までが存在することが判明した。センサーカメラを用いた調査では、クマネズミ以外の哺乳類と鳥類も撮影されており、各調査地点に生息するこれらの種に違いがあることが明らかになった。また、(2)の胃内容分析では、秋以降にはクマネズミの食性が植物食に偏るが、夏期は様々な分類群にまたがる動物を比較的多く捕食しており、特に昆虫をよく捕食していることが明らかになった。また、節足動物以外にも希少な両生類や爬虫類が捕食されていることが明らかになった。希少な奄美固有の両生類や爬虫類がマングース、ノネコ、ノイヌ以外の外来種によって捕食されていることが初めて明らかになった。(3)のセンサスでは、クマネズミの生息密度が高い地点では、低い地点に比べ、コオロギ類や一部の爬虫類の個体数が少ない傾向が見られた。この傾向が認められた生物は、クマネズミの胃内容にも比較的多く含まれていたことから、この傾向はネズミの捕食によって生じた可能性がある。しかし、間接効果については明らかになっていない。
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Research Products
(1 results)