2004 Fiscal Year Annual Research Report
Wee1キナーゼのドメイン解析と相互作用因子の同定
Project/Area Number |
03J07582
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡本 健吾 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞周期 / アフリカツメガエル / Wee1 / Cdc2 / MPF / Pin1 |
Research Abstract |
細胞周期のG2期からM期への進行はCdc2/サイクリンB複合体であるM期促進因子(MPF)による制御を受けており、Wee1キナーゼはCdc2のTyr15をリン酸化することでMPFの負の制御因子として働いている。ツメガエルWee1B(体細胞型Wee1)のN末端側調節領域にはそのCdc2 Tyr15リン酸化能を正および負に制御する調節モチーフ(それぞれNINモチーフおよびTPモチーフと命名)が近接して存在しており、TP (Thr-Pro)モチーフはCdc2/サイクリンBによってM期特異的にリン酸化される。そこで、ツメガエル卵及び無細胞系を用いてTPモチーフのリン酸化によるWee1の不活性化機構の詳細を解析した。 TPモチーフのアラニン置換体(AP)は、野生型(WT)よりも強くM期進行を阻害した。しかし、WTとAP変異体のG2期におけるCdc2 Tyr15へのリン酸化能に有意な差は見られなかった。これらのことからM期におけるTPモチーフのリン酸化が何らかの構造変化を起こし、その結果Wee1BのCdc2 Tyr15に対するリン酸化能が低下すると考えられた。そこで、リン酸化されたTPモチーフがプロリルイソメラーゼPin1の結合モチーフでもあることから、Pin1でPulldownアッセイを行ったところ、M期特異的にWee1BとPin1が相互作用しており、結合することが分かった。一方、TPモチーフのリン酸化を受けないAP変異体とPin1は結合できないことが分かった。これらのことより、このTPモチーフのプロリン異性化によってM期におけるWee1の生理活性が低下することが示唆された。 以上の結果より、M期におけるWee1の不活性化は、TPモチーフのCdc2によるリン酸化と、それに伴うプロリン異性化によって制御されていることが強く示唆された。
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