2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07665
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福山 博文 九州大学, 大学院・経済学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 排出者責任 / 原状回復 / 産業廃棄物の広域移動 / 産業廃棄物税 / 地域間格差 |
Research Abstract |
本年度,私はこれまでの理論的な側面からだけではなく理論と実証の両面からわが国における廃棄物政策のあり方について研究を行ってきた.本年度の研究実績の概要は,以下のように大きく2つに分類される. 1.産業廃棄物不法投棄に対する法的責任ルールの最適設計に関する研究 産業廃棄物の不法投棄問題において不法投棄に間接的に関与している排出者にも原状回復の責任を負わすべきか否かについて研究を行ってきた.結果として,排出者への責任の拡大は,排出者の産業廃棄物処理業者へ支払う処理委託料金を低下させることから処理業者の不適正処理へのインセンティヴを高めて環境汚染を拡大させる効果と原状回復を促進し環境汚染を縮小させる効果の2つの効果をもたらすことを示した.特に処理業者が資力不足のケースでは,後者の効果のほうが前者の効果より大きくなり排出者への責任拡大は社会的に望ましいことを明らかにした.この研究の成果は,日本経済学会春季大会において報告され,『現代経済学研究』に掲載された. 2.産業廃棄物税に関する研究 まず,理論研究として,産業廃棄物が地域間を移動するような2地域モデルを構築し,各地域の地方自治体間における産業廃棄物税に関する政策競争について研究を行ってきた.結果として,産業廃棄物の埋立コストが低い地域では,産業廃棄物のリサイクル率が社会的に最適な水準より過大になることを示した.次に,実証研究として,産業廃棄物税は地方税であるにもかかわらず,現在,ほとんどの自治体がその税率を一律1,000円/トンにしている点に着目し,その妥当性について研究を行ってきた.いくつかの地域特性について都道府県をグルーピングし,各グループにおいてそれぞれ産業廃棄物排出量関数の推定を行った.その結果,産業廃棄物税の導入は排出抑制効果を生み出し,その抑制効果はグループ間で大きく異なることが示されたことから,各地域特性に依存した個別の税率設定が望ましいことを示した.これらの研究の成果は,九州経済学会において報告され,International Journal of Interdisciplinary Information Sciencesに掲載される.
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Research Products
(2 results)