2003 Fiscal Year Annual Research Report
遷音速流れの混合により発生する複合チョーク現象と複合音波に関する研究
Project/Area Number |
03J07758
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
与那嶺 牧子 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Compressible Flow / Flow Visualization / Internal Flow / Compound waves / Compound Choking |
Research Abstract |
次世代高高度高速飛行用エンジンとしてスクラムジェットエンジンが考えられているが,このエンジンでは空気取入れ口上流に発達する境界層のため,エンジンに流入する気体の流速は亜音速から超音速にいたる著しい非一様性を有する.この気流の減速過程で発生する複合チョーク現象は,機器の効率低下やエンジン不始動などのトラブルを誘発することが知られている.これまでの研究では,複合チョーク現象を説明するために複合音波の概念を用いてきたが,この音波の存在を実験的に検証した例はなく,複合チョーク現象解明の障害になっている.本研究は,複合音波を実験的に検証して,その特性を明らかにし,これにより複合チョーク現象を解明して,複合チョーク発生の条件を明らかにすることを目的としている. 本年度は,複合音波について明らかにするため,断面積一定の管内において二つの異なる平行な亜音速流に逆らって伝播する圧力波(複合圧力波)の特性を,実験及び数値計算により調べた.得られた結果は以下の通りである. 1,複合圧力波は界面よりも高速側で分枝しており,分枝点より高速側では分枝点から壁面までほぼ垂直な形状をしている.分岐点より低速側では先頭を走る圧縮波の背後に分枝点近傍で発生したいくつかの圧縮波が観測される.ダクト入口部分における波の形成過程を過ぎると,この波系はほぼ同じ形状を保ってダクト内を上流側に伝播する. 2,数倍計算によるダクト内を伝播する圧力波の構造は,可視化実験結果とよく一致する. 3,複合圧力波の伝播速度は,複合圧力波前後の静圧比にほぼ比例して増加する. 4,複合圧力波前後の静圧比が1に近いときの伝播速度は,Bernsteinらの提唱した複合音波の伝播速度に一致する. 本実験における波は前後の圧力比が1.17の圧力波で音波とは異なるが,圧力比が小さいことと圧力比1.05の数値計算も同様の結果を示していることから,複合音波も同様の二次元構造をとると考えられる.
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