2004 Fiscal Year Annual Research Report
内因性血管新生阻害因子の産生機構の解明と血管新生標的薬剤の開発
Project/Area Number |
03J07820
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩田 淳一 順天堂大学, 医学部, 助手
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Keywords | カテプシンE / エンドスタチン / カテプシンD / アンジオスタチン |
Research Abstract |
アンジオスタチンおよびエンドスタチンはともに内因性の血管新生阻害物質で、プラスミノーゲンおよびコラーゲンXVIIIがそれぞれプロテアーゼによって分解され産生されることが知られていた。しかしながら、これら物質のin vivoでの産生機序や作用機序は不明のままであった。本研究では、これら物質の産生に関わるプロテアーゼの機能解析および性状解析を行った。 それぞれ数種類のヒト前立腺癌細胞株および口腔癌細胞株から分泌されるプロテアーゼについて検討したところ、癌細胞から分泌されるアスパラギン酸プロテアーゼのカテプシンE(CE)が、コラーゲンXVIIIからエンドスタチンを産生する責任酵素であること、さらにその産生が弱酸性条件下で効率的に起こることが明らかとなった。また、CEを過剰発現させた癌細胞では、in vitroの系でエンドスタチン産生能の亢進が認められ、in vivoの系で腫瘍増殖の抑制が認められた。さらに、in vivoでのCE局所投与においても同様の腫瘍増殖抑制効果が認められた。また、これら癌細胞におけるCE発現が癌抑制遺伝子p53により制御され、さらに口腔癌患者で血清中CE活性が健常者に比べ有意に低下していたことから、癌においてCEが抑制的に作用することが示唆された。 また、同じくアスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンD(CD)は内因性血管新生抑制因子であるアンジオスタチンを産生することが明らかにされていたので、各種癌細胞の産生するCD分子の性状を比較検討した。その結果、同じ臓器由来の癌細胞であっても悪性度の違いによりCDによるアンジオスタチン産生能に著しい差があることが分かった。この差はCDの糖鎖修飾の違い、なかでも、癌転移に関係するといわれる糖鎖のシアル酸付加量の差異によることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)