2003 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌が有する環境応答遺伝子の多様性と環境浄化プロセスへの応用
Project/Area Number |
03J07851
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平塚 宣博 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 担子菌 / シトクロムP450 / マイクロエキソン / 分子多様体 |
Research Abstract |
担子菌P450発現解析に向けたマイクロアレイチップの作製 アレイチップ作製に向けて、担子菌Phanerochaete chrysosporiumの有するシトクロムP450のシークエンス解析を行っている。P450の塩基配列を明らかにすることにより、オリゴ配列を設計しチップ化したり、獲得した配列のライブラリー化を行い、アレイチップのプローブDNAとして利用可能となる。 我々は、完全長アミノ酸配列が予測された120のP450分子種を標的にしている。当初、保存領域(ヘム結合領域)からプライマーをデザインし、部分配列データを得ることを計画していた。この場合、P450の触媒機能を発揮する上で必須領域を明らかにすることから、他分子との相同性差が付きにくく、アレイ解析を行う上でのネックになりうると考えた。そこで、P450分子間における特異性の高い部分はN末端領域であることから、時間的負荷は増えるが、可能な限り完全長配列を解読する方針に変更した。現在、68分子種(うち完全長が40、部分配列が28)の配列データを獲得している。残りのP450配列に関しては早急に明らかにしたい。 また、このように配列を明らかにする中で、興味深い知見が得られた。シーケンス解析やアノテーションにより、完全長配列の得られた分子に対し、系統解析、イントロン・エキソン構造の推定、アライメント解析を行った。その結果、アミノ酸10残基以下で構成されるマイクロエキソン(ME)の存在が確認された。これは他生物P450において確認されておらず、担子菌P450の特徴と言える。さらに、MEが基質認識に関わる領域に数多く存在することから、担子菌P450は進化の過程において、MEを介して機能分化に伴った分子多様性を獲得したと推察された。また、バリアントの生成が確認され、転写レベルにおけるP450多様化機構と期待された。
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