2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J07874
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河邉 隆寛 九州大学, 人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 陰影による形状知覚 / 奥行き知覚 / 運動予測 / キャストシャドウ / 図地分凝 / 境界・面知覚 / 眼球運動 / 知覚的統合 |
Research Abstract |
本研究では,視覚情報処理過程における3次元手がかりと視覚的記憶表象の関係を明らかにすることを目的とした. 【研究1】陰影刺激が図と地の分離に及ぼす効果について検討し,成果を基礎心理学研究第22巻1号p.10-17へ発表した.陰影の施された円刺激をルビンの壺図形を形成するように配置した.顔領域が凸で構成された場合,壺領域は凹で構成され,逆のパターンも用意した.測度は,提示された刺激について凸・凹領域いずれが図として知覚されたかの割合であった.その結果,短時間提示条件においても凸領域は安定して図として知覚されることがわかり,陰影による奥行きが比較的視覚情報処理の早い段階で処理されている可能性を示唆した.また,顔・壺領域間の境界線を黒色線でマスクした場合は短時間提示の場合,図と地の分離は明確でなかった.この結果は,陰影による奥行き復元処理には境界での処理と面内部での処理の2通りが存在することを示している. 【研究2】キャストシャドウによる奥行き知覚が運動予測に与える影響を検討し,眼球運動との関連についても検討した.成果をJapanese Journal of Psychonomic Science,22,1,25-26に報告した.刺激は回転する物体をCRT上にシミュレートしたもので,ある一定の位置に光源を設けて光があたるようにした.その際,キャストシャドウが存在する条件と存在しない条件を設けた.物体は4フレームにわたって回転した.その際,1-2,2-3フレームの回転角度は一定であったが,3-4フレームの回転角度を小さいものから大きいものまで7段階セットした.観察者は3-4フレームの運動がそれまでのフレームに比べ大きいものであったか小さいものであったかを2者強制選択法により報告した.その結果,眼球運動により追跡しない場合は,キャストシャドウの有無にかかわらず,先行研究と一致して運動の過少報告が生じたが,眼球運動が伴う場合はキャストシャドウが存在する場合には正確な運動予測がなされた.この結果は,視覚系が眼球位置の変化情報を運動予測に用い,さらにキャストシャドウなどの奥行き情報も考慮していることを示していることから,運動の予測は知覚(絵画的奥行き知覚)と行動(眼球運動)の統合後に行われる可能性を示唆している.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 河邉隆寛, 三浦佳世: "陰影に基づく図地の割り当て"基礎心理学研究. 22・1. 10-17 (2003)
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[Publications] Takahiro KAWABE, Kayo MIURA: "Predicting future position of three-dimensional moving objects-Effect of tracking eye movements."Japanese Journal of Psychonomic Science. 22・1. 25-26 (2003)