2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキソメタル種の反応性の向上とエナンチオ選択的不斉酸化反応の開発
Project/Area Number |
03J07939
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齊藤 文内 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不斉触媒 / cis-β構造 / 不斉ヒドロホスホニル化 / アルミニウム / サラレン配位子 / α-ヒドロキシホスホン酸エステル |
Research Abstract |
筆者らが以前に開発したサレン-チタン錯体を用いる触媒的不斉スルホ酸化では、過酸化水素が二座配位したペルオキソ錯体が活性種であり、サレン錯体はcis-β配位をとっている。しかし、サレン金属錯体は単量体では本質的にtrans配位が安定である。それ故、cis-β配位がより安定となる不斉配位子の構築について検討した。 最近、サレン配位子の二つのイミンの一方のみが還元、N-メチル化された配位子(サラレン配位子)が金属イオンにcis-β配位することことが報告された。しかし、この配位子の不斉化に関しての報告はなされておらず、新たなcis-β不斉場の構築と関連して興味が持たれた。そこで、新規不斉サラレン配位子の合成に着手し、5段階、約50%の高収率で目的とする新規サラレン配位子を合成することに成功した。ついでこの配位子とアルミニウムからなる錯体を合成し、単結晶X線解析により構造解析を行ったところ、歪んだ三方両錐型を有し、中心金属の極く近傍にN-メチルが存在する得意な不斉場をもつことが明らかとなった。 そこで、このサラレン-アルミ錯体を触媒に用いてアルデヒドへの不斉ヒドロホスホニル化の検討を行ったところ、芳香族アルデヒドのみならず、従来法では困難であった脂肪族アルデヒドの反応においても高収率、高エナンチオ選択性を達成することができた。以上の結果については現在投稿準備中である。 一方、昨年度開発したサレン亜鉛錯体触媒を用いるケトンヘの不斉アルキニル化については予定通り報告することができた。さらに不斉タンデムアリル位置換反応についても共同研究を行った。これらの結果は裏面に記載した論文にまとめることができた。
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Research Products
(2 results)