2003 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛ペプチド・ノシセプチン受容体の活性発現機構の解明とアンタゴニストの設計
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03J07941
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 道昭 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 蛋白質 / 生理活性 |
Research Abstract |
(1)変異ORL1受容体を用いたアンタゴニスト・Ac-RYYRIK-NH_2の結合部位の同定 ノシセプチンアンタゴニストであるAc-RYYRIK-NH_2は、そのアミノ酸配列中に塩基性残基を3箇所含むことから、受容体の第2細胞外ループ上に集中した酸性アミノ酸残基と相互作用すると予測されてきた。そこで、それらの酸性アミノ酸残基(191位Glu、192位Asp、193位Glu、194位Glu)についてそれぞれをAla置換した変異受容体を計4種(Glu191Ala、Asp192Ala、Glu193Ala、Glu194Ala)、さらにこれらの残基を全てAla置換した変異受容体(EDEE191-194AAAA)を作製し、ORL1受容体のAc-RYYRIK-NH_2結合部位を調査した。5種の変異体について[^3H]ノシセプチンをトレーサーとした競合結合試験を実施したところ、ノシセプチン、Ac-RYYRIK-NH_2ともに強い結合能を示した。その親和性はGlu191Ala、Asp192Ala、Glu193Ala、Glu194Alaでは野生型ORL1受容体とほぼ同じ(ノシセプチン:IC_<50>=0.83nM、Ac-RYYRIK-NH_2:IC_<50>=1.53nM)であった。EDEE191-194AAAA変異体ではノシセプチンのみ若干の結合親和性低下が見られた。この結果は、191〜194位の各酸性アミノ酸残基がリガンド結合に必ずしも必須ではないことを示すものである。今後はAc-RYYRIK-NH_2の受容体結合部位の候補として、ループ上の他の酸性アミノ酸残基を視野にいれて研究を行っていく。 (2)ORL1受容体の活性化に関与する残基の同定 ORL1受容体を含めた各オピオイド受容体サブタイプ間には全部で85個のアミノ酸残基が保存されている。これら保存残基の受容体活性化機構への役割を調べるため、まず、この中で唯一存在するHis残基である151位Hisについて変異受容体(His151Ala)を作製した。His151Alaについてリガンド結合能を測定したところ、野生型ORL1受容体とほぼ同等のリガンド結合親和性が観察された(ノシセプチン:IC_<50>=1.19nM、Ac-RYYRIK-NH_2:IC_<50>=3.37nM)。151位Hisは第2細胞内ループ上に存在し、細胞膜外に露出していないので、この結果は妥当であると考えられる。今後は、生理活性測定([^<35>S]GTPγS結合試験)を実施し、受容体活性化への151位Hisの役割を調査する予定である。
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