2005 Fiscal Year Annual Research Report
疼痛ペプチド・ノシセプチン受容体の活性発現機構の解明とアンタゴニストの設計
Project/Area Number |
03J07941
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河野 道昭 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / タンパク質 / 生理活性 |
Research Abstract |
鎮痛に関わるオピオイド受容体には、δ、μおよびκの3種類が存在する。一方、痛み増強に関わるノシセプチンの受容体(ORL1受容体)もオピオイド受容体と非常によく似たGタンパク質共役の7回膜貫通型受容体構造を持つ。ORL1受容体のTrp^208をAlaに置換した変異受容体では、リガンドは結合するが受容体が活性化しない。このTrpは、他のオピオイド受容体においても保存されているアミノ酸残基であるため、これらに共通する受容体活性化機構が存在する可能性が高い。そこで本年度は、3種のオピオイド受容体およびORL1受容体において、TM5の最上部に存在するTrpをAlaに置換した変異受容体を作製し、Trpの役割について評価した。 まず、δ、μおよびκの3種の受容体のTrpをPCR法によりAlaに置換した変異受容体を作製し、COS-7細胞に発現させた。細胞より膜標品を調整し、競争結合試験により各特異的リガンドについて受容体結合能を評価した。その結果、δ、μ、κ変異受容体においてwild-type受容体と同等の結合能を示したことから、これらの受容体のTrpはORL1のTrp^<208>と同様にリガンド結合には関与していないことが分かった。さらに、[^<35>S]GTP_γS結合試験により受容体活性化能を評価したところ、ORL1では活性が失われた。一方δ、μおよびκオピオイド受容体では、アゴニストはwild-type受容体同様の強い活性化能を示した。以上の結果から、オピオイド受容体ではTM5の最上部に位置するTrpはリガンドの結合および活性化の両方にとって必須ではなく、このTrpはORL1受容体の受容体活性化にきわめて特徴的で重要な構造要因であることが明らかとなった。このTrpへの相互作用を介した特異的なTrp-インドールとスタッキング相互作用するHis含有ペプチドの分子設計を実施した。
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Research Products
(3 results)