2004 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズムペースメーカーホルモンPDFの細胞核内レセプターの同定
Project/Area Number |
03J07942
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 聖児 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 遺伝子 / 昆虫 / 生体分子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
1.PDFのクローニング 本年度は新たにカイコガ、ミツバチでのPDFのcDNAクローニングを実施した.その結果、両者ともにcDNAクローニングに成功し、これまでのPDFとは異なる部位に特徴的なアミノ酸の置換が見られた。特に、カイコガでは2位および10位にSer→Alaの置換が存在し、CDスペクトルによる二次構造解析の結果、他の昆虫PDFがαβ混在の二次構造であるのに対し、カイコガではα構造をとることを明らかとした. 2.PDFの局在解析 昆虫において概日リズムを支配する細胞は視葉に存在することが知られており、これまでにPDFは視葉で発現していることが各種昆虫により示されている.ところが、カイコガでは全く異なる部位(中脳)に発現細胞が確認された.さらに、カイコガでは日周性のPDF輸送がフェロモン生合成活性化ペプチド(PBAN)の産生部位である食道下神経節方向に確認された.実際にカイコガではフェロモン生合成およびPBAN産生細胞での電気活動に概日リズムが存在することが報告されていることからも、PDFが行動のみならずフェロモン生合成に関与する可能性が強く示唆された。 2.pdfmRNAの発現リズム 遺伝子発現量の変化をカイコガで定量的PCR法により解析した.その結果、昼間に発現量がピークとなる日周性のリズムが確認された.このリズムはフェロモン生合成のリズムと非常に類似していた.前述のように、カイコガでは組織学的にPDFとフェロモン生合成との関係が示唆されが、この結果により一層PDFとフェロモン生合成の関連が強く示唆された。さらにpdfmRNA発現のリズムはショウジョウバエでは見られないことから、この実験によりpdfに発現リズムが存在することを初めて示した。今後、フェロモンの生合成経路に関わる各種タンパク質を標的としてカイコガでのPDF受容体の同定を展開する予定である。
|
Research Products
(3 results)