2004 Fiscal Year Annual Research Report
反応部位の置換基によるジアリールエテンのフォトクロミック反応性の制御
Project/Area Number |
03J07957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森光 謙太郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / 置換基効果 |
Research Abstract |
本研究では、ジアリールエテンのフォトクロミック反応性を反応部位の置換基により制御し、これまでにない新規な性能を有する光機能材料創製を目指している。 本年度は、pH変化によるフォトクロミックジアリールエテンの反応性制御、反応部位に二重結合を有するフォトクロミックジアリールエテンの合成に成功した。 1.pH変化によるフォトクロミックジアリールエテンの反応性制御 ジアリールエテンを光スイッチング素子として利用する場合、その光反応性を制御することは大きな課題となる。また、反応部位の置換基は光による閉環/開環部位に隣接しているため、そのフォトクロミズムに大きく影響することが期待される。本研究では反応部位にプロトン化/脱プロトン化が可能なジエチルアミノ基を導入することにより、ジアリールエテンの光閉環反応の反応性を制御することに成功した。合成したジアリールエテンのジエチルアミノ誘導体は、中性条件ではフォトクロミズムを示さなかった。しかし、トリフルオロメタンスルホン酸を添加した酸性条件においては、ジエチルアミノ基がプロトン化され、典型的なフォトクロミズムを示した。一方、比較として反応部位から離れた位置にジエチルアミノ基を導入したが、中性条件下においても通常のフォトクロミズムを示し、ジエチルアミノ基の影響は見られなかった。 2.反応部位に二重結合を有するフォトクロミックジアリールエテンの合成 通常、ジアリールエテンの閉環/開環反応にはアリール部位を含めて6つのπ電子が関与している。ジアリールエテンの反応部位に2-メチルプロペニル基を導入することで、光反応に関与し得るπ電子の数は合計10になる。本研究では、チオフェン環の2位に2-メチルプロペニル基を導入したモノおよびジアリールエテンを合成し、そのフォトクロミック反応性を検討した。モノアリールエテンについては、2-メチルプロペニル基を含めた6π電子によるフォトクロミック反応を示した。一方、ジアリールエテンについては、2-メチルプロペニル基は光反応には関与せず、通常のジアリールエテンと同様の光閉環反応を示した。
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Research Products
(1 results)