2005 Fiscal Year Annual Research Report
反応部位の置換基によるジアリールエテンのフォトクロミック反応性の制御
Project/Area Number |
03J07957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森光 謙太郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / 置換基効果 |
Research Abstract |
本研究では、ジアリールエテンのフォトクロミック反応性を反応部位の置換基により制御し、これまでにない新規な性能を有する光機能材料創製を目指している。 本年度は、反応部位にヒドロキシメチル基を有するジアリールエテンの合成およびフォトクロミック挙動の検討を行い、さらに反応部位間を化学結合で架橋したジアリールエテンについても反応性を検討した。 1.反応部位にヒドロキシメチル基を有するジアリールエテンのフォトクロミック挙動 ジアリールエテンを光スイッチング素子として利用する場合、その光反応性を制御することは大きな課題となる。また、反応部位の置換基は光による閉環/開環部位に隣接しているため、そのフォトクロミズムに大きく影響することが期待できる。本研究では反応部位にpH条件によっては脱プロトン化が期待されるヒドロキシメチル基を導入することにより、ジアリールエテンのフォトクロミック挙動を制御することを試みた。合成したジアリールエテンのヒドロキシメチル誘導体は、アセトン/水の混合溶媒中紫外光照射によりフォトクロミズムを示した。しかし、光照射によって生成したジアリールエテン閉環体は安定に存在せず、徐々に分解が観察された。一方、酸性条件においてはジアリールエテン閉環体は安定に存在し、通常のフォトクロミズムが観察された。 2.反応部位環を架橋したジアリールエテンの合成 ジアリールエテンのフォトクロミック反応性を制御するひとつの因子として、開環体のコンフォーメーションがある。ジアリールエテンにおいては、光反応不活性なパラレルコンフォーメーションと光反応活性なアンチパラレルコンフォーメーションが存在することが知られている。本研究では、反応部位間を化学結合により架橋することでそのコンフォーメーションを固定し、フォトクロミック反応性を制御することに成功した。すなわち、架橋部分(-(CH_2)_n-)のメチレン基が3個(n=3)の場合は開環体がパラレルコンフォーメーションに固定され、紫外光を照射しても閉環反応は進行しなかった。一方メチレン基が5個(n=5)の場合には開環体がパラレルコンフォーメーションに固定されることはなく、通常のフォトクロミズムを示した。
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Research Products
(1 results)