2003 Fiscal Year Annual Research Report
反応部位の置換基によるジアリールエテンのフォトクロミック反応性の制御
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03J07957
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森光 謙太郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / 置換基効果 |
Research Abstract |
本研究では、ジアリールエテンのフォトクロミック反応性を反応部位の置換基により制御し、これまでにない新規な性能を有する光機能材料創製を目指している。 本年度は反応部位の置換基効果により、光開環反応量子収率が非常に大きなフォトクロミックジアリールエテン、および大きな幾何構造変化を示すフォトクロミックジアリールエテンの合成に成功した。 1.反応部位の置換基による光開環反応量子収率の制御 ジアリールエテンを光スイッチング素子として利用する場合、その光反応性を制御することは大きな課題となる。本研究では反応部位に極性置換基であるシアノ基を導入するこより、光開環反応の反応性を著しく増大させることに成功した。ジアリールエテンのシアノ誘導体は、光閉環反応量子収率は0.42となり、メチル誘導体の値とほぼ同じであった。一方、光開環反応量子収率は0.41となり、メチル誘導体の0.013から非常に大きく増加していた。これは励起状態におけるエネルギー障壁が小さくなるという理論計算によっても支持される結果である。光開環反応の反応性が小さなメトキシ誘導体と比較すると、反応部位の置換基を換えることにより24000倍もの反応性制御を達成することができた。 2.フォトクロミズムに伴う大きな幾何構造変化の誘起 通常、ジアリールエテンは閉環/開環反応に伴う構造変化が小さいため、いくつかの誘導体は結晶状態でも安定なフォトクロミズムを示す。本研究では反応部位に長い直線構造を有するエチニル基を導入し、光反応によって大きな幾何構造変化を誘起することに成功した。ジアリールエテンのエチニル誘導体はヘキサン中で安定なフォトクロミズムを示したが、その大きな構造変化のため結晶状態ではフォトクロミズムを示さなかった。閉環体は単離、結晶化することができ、幾何構造が大きく変化することはX線結晶構造解析によって証明された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森光 謙太郎: "Efficient Photocycloreversion Reaction of Diarylethenes by Introduction of Cyano Subsutituents to the Reactive Carbons"Chemistry Letters. 32巻9号. 858-859 (2003)
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[Publications] 森光 謙太郎: "Large Geometrical Structure Changes of Photochromic Diarylethenes upon Photoirradiation"Tetrahedron Letters. 45巻6号. 1155-1158 (2004)