2004 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエル減数分裂周期及び卵割体細胞周期におけるMyt1活性制御機構の解析
Project/Area Number |
03J07980
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 大悟 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞周期 / 減数分裂周期 / Polo様キナーゼ1(Plk1) / チェックポイント / Myt1キナーゼ |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題だけでなく共同研究も行い、以下の内容を含む2つの論文を発表した。 1、前年度までに、主に以下3つの成果を得ていた。まず、Plx1キナーゼがMyt1キナーゼを不活性化することを示した。また、Plx1による主要なリン酸化部位を同定した。さらに、PIx1とMyt1の結合は、減数分裂周期では、Mos-MAPK経路依存的に阻害され、受精後にはじめてその結合が可能となることを示唆した。本年度では、Plx1によるMyt1の結合と不活性化に、Myt1のスレオニン478(Thr478)のリン酸化が必須であることを示した。Thr478は、減数分裂周期および受精後のM期にCdc2によりリン酸化される。このリン酸化を受けなくしたMyt1-Ala変異体は、受精後、Plx1と結合できず、Plx1依存のリン酸化、不活性化が著しく抑えられる。Thr478は種間で保存されていることから、Plx1によるThr478のリン酸化依存的なMyt1不活性化は、体細胞周期においても普遍的な機構であることが示唆された。一方、減数分裂周期では、Thr478リン酸化依存的なPlx1とMyt1の結合は、Mos-MAPK経路下流のp90^<rsk>キナーゼにより阻害されることを示した。p90^<rsk>は、Myt1をリン酸化し、不活性化するが、このリン酸化が、減数分裂周期で、Plx1とMyt1の結合を阻害する。すなわち、受精前の減数分裂周期では、p90^<rsk>が、受精後の卵割体細胞周期では、Plx1がそれぞれMyt1の不活性化因子として機能するという、Myt1不活性化因子の切り換え機構を明らかにした。 2、細胞周期におけるDNA(損傷/修復)チェックポイントでは、Cdc25Aホスファターゼの分解が必須であるとされる。Cdc25AのN末端制御領域に存在する複数のリン酸化がCdc25Aの分解に必須であり、これらのリン酸化は、Chk1、Cds1キナーゼによる。今回、共同研究により、Cds1ではなく、Chk1のみによる新規リン酸化部位をCdc25AのC末端制御領域に見出した。このリン酸化は、Cdc25Aとその基質であるCdkキナーゼの結合を阻害する。また、Cdc25Aの分解よりもむしろ基質結合阻害がDNAチェックポイント時に必須であることを示した。Chk1によるこのリン酸化部位は、Cdc25ファミリー間、そして種間でも保存されている。実際、Chk1がCdc25ファミリーや種間において保存された部位をリン酸化し、かつ普遍的な機構であることを示した。
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Research Products
(3 results)