2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J08021
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
井田 ちぐさ 財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所・バイオテクノロジー領域, 特別研究員
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Keywords | 嫌気 / 鉄呼吸 / Acidithiobacillus ferrooxidans / HiPIP / ヒドロゲナーゼ / クローニング |
Research Abstract |
嫌気鉄呼吸は水素を電子供与体、鉄を電子受容体として用いる呼吸形式であり、硫黄呼吸と並ぶ最古の呼吸形式であると考えられている。これまで、嫌気鉄呼吸能を有する鉄酸化細菌Acidithiobacillus ferrooxidans (A.f)からチトクロムcと鉄-硫黄タンパク質(HiPIP)を単離し、これらがHiPIP→チトクロムc→Fe^<3+>の順に電子伝達を行う呼吸鎖蛋白質であることを明らかにしてきた。以下に本年度の研究実績を報告する。 1.膜結合型ヒドロゲナーゼの単離、同定 A.fJCM 7811株から、水素を電子供与体として嫌気的に培養したときにのみ確認される膜結合型のヒドロゲナーゼを精製、単離した。分子量は103kDaで、62.6kDaと32.5kDaのサブユニットからなるヘテロダイマーで構成されていた。本酵素の至適温度、pHはそれぞれ50℃、pH8.0であり、NAD^+及びNADP^+還元活性を有していた。 2.HiPIP遺伝子(hipip)のクローニング HiPIPのN末端アミノ酸配列50残基を明らかにし、これを基にhipipのクローニングを行った。遺伝子配列の解析から、hipipは321塩基であり、58残基のポリペプチドと48残基のシグナルペプチドをコードしていると推測された。A.fATCC 33020株のhipipと98.1%の高い相同性を示し、A.fFe1株のhipipとそれぞれ50.9%の相同性を示した。また、鉄-硫黄クラスター[4Fe-4S]と配位するための4つのシステイン残基が保存されていたことから、本酵素が1つの鉄-硫黄クラスターを持つことが示唆された。 今後は、これらの呼吸鎖蛋白質の電子移動について速度論的な解析を行い、嫌気鉄呼吸鎖のメカニズムについてさらに検討していく予定である。
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