2003 Fiscal Year Annual Research Report
クォークとレプトンの世代構造の解明(クォークレプトン質量行列模型)
Project/Area Number |
03J08219
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 潤平 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 大統一理論 / ハイパーチャージ対称性 |
Research Abstract |
最近のニュートリノ振動実験により、レプトン側の世代混合角が大きいことが明らかになった。一方、クォーク側の世代混合角は小さい。素粒子物理学の基礎理論である標準理論や、その背後にあると期待される大統一理論では、このクォークとレプトンの世代構造を説明できない。クォークとレプトンの世代構造は、素粒子物理学における最大の謎である。そこで、クォークとレプトンの世代構造を説明できる大統一理論の構築が課題である。本研究では、クォークとレプトンの世代構造を説明できるE_6大統一理論の構築を目指す。そのため、今年度は、標準理論のゲージ対称性がE_6大統一理論にどのように含まれるかでその全ての可能性について調べた。その結果、強い相互作用のゲージ対称性と弱い相互作用のゲージ対称性は、比較的大きなゲージ対称性であるため、E_6大統一理論におけるこの二つのゲージ対称性の定義の仕方に不定性はなく、ただ一通りしかないことが分かった。しかし、標準理論に含まれるもう1つのゲージ対称性であるハイパーチャージ対称性は、小さなゲージ対称性であるため、E_6大統一理論におけるハイパーチャージ対称性の定義の仕方は一意的には決まらない。そこで、弱い相互作用のエネルギー領域で標準理論を正しく再現する、ハイパーチャージ対称性の定義の仕方の可能性の全てを調べたところ、3つの異なる定義が存在することが分かった。3つの異なる定義の内2つの定義では、標準理論の3つのゲージ結合定数があるエネルギーで同時に統一することはない。ゲージ結合定数の統一に関する新たな公式も与えた。また、電磁相互作用のゲージ対称性の起源が、E_6大統一理論の枠組みでは大きな左右対称性であることを指摘した。本研究により得られた結果は、現実的なE_6大統一理論の模型構築に役立つことが期待される。
|
Research Products
(1 results)