2003 Fiscal Year Annual Research Report
レム睡眠中における急速眼球運動と夢見過程に関する精神生理学的検討
Project/Area Number |
03J08268
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 景子 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レム睡眠 / 急速眼球運動 / 夢見体験 / サッカード / ラムダ様反応 / ラムダ反応 / レム密度 / 夢特性評定尺度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,レム睡眠中における急速眼球運動(REMs)と夢見過程に関する精神生理学的検討を行うことである.具体的には,覚醒中に生じる急速眼球運動(サッカード)前後に出現する脳電位とレム睡眠中のREMs前後に出現する脳電位を比較すること,両眼球運動の運動形態に関する比較を行うことである. これらの検討により,レム睡眠中のREMsの発生メカニズム,REMsが脳内に及ぼす影響について言及し,REMsと夢見体験の関連性を述べ,レム睡眠中の夢見発生メカニズムを解明する. 本年度の研究実施内容とその成果については,以下の通りである. 1.レム睡眠中のREMs発生中に夢見聴取を行い,この時点における脳内活動と夢見体験との関連性を検討した.その結果,夢の有無により後頭部の脳電位活動(ラムダ様反応)に違いが見られた.夢見報告があったときはラムダ様反応が出現したが,夢をみなかったと報告があったときには出現しなかった.さらに,夢内容に聴覚的な要素が含まれた場合よりも,視覚的な要素のみの場合でラムダ様反応の振幅は有意に増大し,夢の活動性とは負の相関傾向を示した.これは,レム睡眠中の夢とREMsとの直接的な関連を示唆するものであり,夢の発生メカニズムを解明する上で重要な手がかりになると考えられる. 2.レム睡眠中のREMsの眼球運動形態について,通常終夜睡眠におけるレム睡眠中の夢見体験と比較を行った.その結果,REMsの密度と夢の活動性,印象性との間に左の相関が認められた.これは,中途覚醒法を用いて誘発した入眠直後のレム睡眠中で検討した先行研究と一致した.この結果より,レム睡眠中のREMsと夢見内容との関連性が示唆された. 以上の成果については,本年度購入したパーソナルコンピュータを用いて分析検討を行った.実験を行った際には,実験参加者には事前に実験内容を説明し,書面でのインフォームドコンセントを得ることで,参加者の人権と利益の保護を行った.
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