2004 Fiscal Year Annual Research Report
レム睡眠中における急速眼球運動と夢見過程に関する精神生理学的検討
Project/Area Number |
03J08268
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 景子 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 夢見体験 / レム睡眠 / 急速眼球運動 / 脳波 / サッカード / イメージ体験 / 事象関連電位 / トポグラフィ |
Research Abstract |
本研究の目的は,レム睡眠中における急速眼球運動(REMs)と夢見過程に関する精神生理学的検討を行うことである.具体的には,覚醒中の急速眼球運動(サッカード)前後に出現する脳電位とレム睡眠中のREMs前後に出現する脳電位の比較を行う.本年度は,これらの脳電位比較から,夢の発生メカニズムについてまとめ,国際誌に投稿し,現在最終審査中である.さらに,新たな視点として,レム睡眠中の脳電位と夢見内容との関連を検討するため,11名の例数を加え,昨年度と合わせて計20名の実験参加者から夢見体験を聴取した. 1.レム睡眠中のREMs前にはサッカード前に出現する準備電位は出現しなかった.これはREMsがサッカードとは異なる発生メカニズムを持つことを示す.REMs後にはラムダ様反応が出現した.これは,レム睡眠中にも覚醒中と同様に何らかの視覚情報処理活動が生じる可能性を示す.以上より,夢の発生メカニズムに関して,まずREMsが生じそれをきっかけに脳内活動(視覚イメージの生成)が生じ,それを夢として体験すると考えられる(学術雑誌SLEEP投稿中).ラムダ様反応の発生源を3次元的に検討し,REMs後に視覚野で活動が生じることも確かめた. 2.夢見内容とラムダ様反応との関係を検討した結果,夢を見たと報告があった場合にのみラムダ様反応が観察され,ストーリー性がない・音があまり印象に残らない場合でより明瞭なラムダ様反応が観察された.これは,ラムダ様反応が夢見体験の客観的指標となりうる可能性を与える. (日本睡眠学会第29回大会で発表) 本年度購入したパーソナルコンピュータモニタや大容量ハードディスク等を用いたことで,より効率的に実験研究のデータ蓄積・処理を行うことができた.本研究内容は,広島大学総合科学部行動科学実験委員会で承認を得ており,実験の際には,実験参加者から書面でのインフォームドコンセントを得ることで,参加者の人権と利益の保護を行っている.
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