2004 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科自家不和合性におけるS対立遺伝子間での花粉側優劣性の分子制御機構解明
Project/Area Number |
03J08326
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
柿崎 智博 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アブラナ科 / 自家不和合性 / 複対立遺伝子 / SP11 / SRK |
Research Abstract |
前年度までに単離していた、花粉劣性を示す系統由来のSP11遺伝子を含むゲノムクローンの全塩基配列をショットガン法により決定した。その結果、S29系統由来のクローンは18kbのインサートを含みSP11-29遺伝子の全領域とSRK29遺伝子のプロモーター領域を含んでいた。先に同定していたS40およびS44系統と比較したところ、SP11とSRKの転写方向は各系統共に保存されていた。これまでに報告されていた花粉優性を示す系統では、系統間でSP11とSRKの転写方向は保存されておらず、今回見いだされたS遺伝子の転写方向の保存は花粉劣性系統に特異的なものであると結論づけた。 さらに、S40およびS44系統の柱頭由来cDNAを鋳型としたRT-PCR法を用いて、これらの系統からSRKをクローニングした(SRK40,SRK44)。得られた配列と、先に報告のあるSRK29およびSRK60とのアミノ酸配列を比較したところ、90-95%と高い相同性を示した。特に変異が蓄積しているとされる三カ所のhyper-variable regionにおいてもアミノ酸変異は4アミノ酸残基程度にとどまっていた。 また、各系統のSP11とSRKの遺伝子間領域にはORFの存在は確認されなかったが、特徴的な繰り返し配列が見いだされた。SP11の上流約1kbに存在する繰り返し配列は、12bpと20bpの配列がそれぞれ交互に3回ずつ繰り返していた。さらにこの繰り返し配列は花粉劣性系統では、全系統に存在していた。以上のことから花粉劣性を示す系統間ではS遺伝子の配列のみならず、ゲノム構造も保存されていることが分かった。
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Research Products
(1 results)