2003 Fiscal Year Annual Research Report
近代華北における農村の社会・経済と中国共産党の土地改革
Project/Area Number |
03J08470
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三品 英憲 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国 / 近代史 / 現代史 / 中国共産党 / 土地改革 / 農村社会 / 社会史 / 華北 |
Research Abstract |
平成15年度は、ほぼ当初の研究計画のとおりに実行する事ができた。すなわち、1946年前半までの時期における中国共産党の農村工作に関する問題を研究し、学術雑誌『史学雑誌』に、論文「戦後内戦期における中国共産党の革命工作と華北農村社会」を発表した。この論文では、日中戦争後、中国共産党が華北農村社会においてどのような工作を行い、またその工作が、華北農村社会の現実にどのように規定されて変化したのか明らかにした。まだこの研究を進める過程において、戦中から現在までに著された華北農村社会に関する諸研究を整理したが、この成果についても、学術雑誌『史潮』に論文「近現代華北農村社会史研究に関する覚書」として発表した。ここでは、少なくとも清末から日中戦争が終わるまでの時期における華北農村は、組織性の低い流動的な社会と捉えられるべきであり、そこに村落共同体的な繋がりを見ようとする見解は、十分な説得力を持っていないことを確認した。その上で、そうした緩やかな社会統合を質的に転換させたものとして共産党革命を位置づけるへきであること、またこのメカニズムが明らかになって初めて現代中国を理解することができると主張した。以上のような研究・整理によって、中国共産党の支配確立過程についての新たな歴史像を描いていく上で、土台を固めることができた。 またさらに、次年度以降、1946年から人民共和国の建国に至る過程を研究するための資料について、台湾の国史館・法務部調査局資料室・政治大学、並びに北京の国家図書館において資料調査・蒐集を行った。台湾では主として当該時期の中国共産党内部文書を、北京では当該時期に中国共産党支配地域で刊行されていた新聞記事を、それぞれ複写して蒐集した。これらについては、平成16年度以降に整理・分析し、順次発表していく予定である。
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Research Products
(2 results)