2004 Fiscal Year Annual Research Report
近代華北における農村の社会・経済と中国共産党の土地改革
Project/Area Number |
03J08470
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三品 英憲 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国近代史 / 中国現代史 / 中国共産党 / 毛沢東 / 土地改革 / 農村革命 / 農村社会 / 農村経済 |
Research Abstract |
平成16年度は、20世紀前半の華北で行われた農村経済建設運動を詳細に分析することを通して華北農村社会・経済の構造を明らかにした論文「1930年代前半の中国農村における経済建設-中華平民教育促進会の『定県実験』をめぐって」を、学術雑誌『アジア研究』に掲載した。これは戦後内戦期に行われた共産党革命(土地改革)を、より広い視野で、また基層社会との関連で捉えるために必要不可欠な作業である。 同時に、研究課題を遂行するために必要な資料調査として、8月17日から9月15日までの1ヶ月弱の間、台湾の法務部調査局資料室を訪問し、国共内戦期に国民党・国民政府が共産党から鹵獲した内部文献の蒐集を行った。現在ここで蒐集した資料の分析を進めており、1947年前後の時期に次第に確立した中国共産党内部における一元的な権威・権力のあり方と、それが社会掌握に果たした役割について考察した論文を、近日中に成稿して投稿・発表する予定である。 さらに、平成15年度・平成16年度の二度にわたる資料調査の結果、台湾の法務部調査局資料室が所蔵する、1930年代から40年代にかけて中国共産党が「内部発行」の形で配布していた逐次刊行物のリストを作成することができた。このリストは、内戦期の中国共産党に関する研究だけではなく、中国共産党史研究全体、さらには中国近現代史研究全体の発展に寄与し得るものである。従来、当該時期の研究は、一般的な雑誌や新聞、あるいは国民政府の公文書に依拠して進められてきたが、共産党が「極秘」の印を打ち党員に対してのみ配布していた文献の利用が進めば、研究水準は飛躍的に高まるであろう。このリストは、現在、来年3月に発行予定の『近代中国研究彙報』(東洋文庫)への掲載を検討中である。
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Research Products
(1 results)