2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J08472
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
梅垣 千尋 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近代史 / 思想史 / 女性史 / イギリス / 国際情報交換 / 文学 / 女性学 |
Research Abstract |
本研究は、18世紀末イングランドにおける女性著述家を対象として、啓蒙という過程を女性がいかに経験したのかを具体的に考察するものである。特に1780年代から90年代の時期に、政治的問題をめぐる論争的な書物の出版を通じて「公論」を方向づける役割を果たした女性著述家の思想に注目している。平成15年度は、これらの女性著述家が「文明」をいかに表象したのかという問題に焦点を当てて研究を進めてきた。「文明」概念は、啓蒙期には商業発展のイデオロギーと結びついて、女性の知的活動を是認するものとなりえたと考えられるからである。 その具体的実績としては、春季の「イギリス女性史研究会」で個人研究報告を担当し、18世紀末の女性著述家の「文明/野蛮」認識について発表を行った。この報告をもとに学術論文を執筆し、現在は学会誌への投稿・査読の段階に至っている。また夏季には研究論文の執筆に向けて、一次史料を収集するためにイギリスに滞在した。女性の知的改善について論じた書物を渉猟した結果、それらの議論に見られるいくつかの系譜を析出することができた。 年度の後半には、秋季の「日英歴史家会議」に参加して得られた知見なども手がかりとして、18世紀イギリス女性史および思想史に関する理解を深め、研究論文の準備を進めてきた。それと同時に、出版社の小冊子にメアリ・ウルストンクラフトにかんする短い論文を寄稿し、問題領域の拡大を試みてきた。さらにメアリ・ヘイズの著作の復刻版が出版されるのに伴い、文献の深い理解を促すため、その日本語解説の執筆も担当している。
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Research Products
(2 results)