2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘーゲル論理学における「本質論」の生成と弁証法的形而上学批判についての研究
Project/Area Number |
03J08477
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大河内 泰樹 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヘーゲル / カント / 論理学 / 形而上学 / 存在論 / ライプニッツ |
Research Abstract |
今年度の研究計画に基づき、以下のようなことが明らかとなった。 1.ヘーゲル『大論理学』本質論における「根拠論」と「本質的相関」を特にカントとの「反省概念」との比較において、検討を行った。その結果、ヘーゲルにおいては前提的反省の論理が、「質料」と「形式(形相)」、「内的なもの」と「外的なもの」の対立を止揚する役割を果たしていることが明らかになった。 2.ヘーゲル同「反省規定論」におけるカントの実在的対立批判を詳細に検討するとともに、これがさらに道徳哲学的帰結を持つことを明らかにした。その際に、これをカントの『宗教論』とライプニッツの『弁神論』における善(および悪)の理論と比較した。その成果を9月26日には、フランス・トゥールーズで行われた国際ヘーゲル学会大会(Hegel-Kongress der Internationalen Hegel-Gesellschaft e.V.)にて、テーマ「Gewissen und die Realopposition des Guten und Bosen - Eine Anwendung der Logik des Gegensatzes und des Widerspruchs auf die Moralphilosophie」の下に口頭発表を行った。この成果をさらに論文にまとめた。 3.10月11日、社会思想史学会全国大会にて「関心と理性の限界-初期ハーバーマスの認識論の哲学史的コンテキスト」というテーマで発表を行い、関心の概念をめぐって展開された、カント、フィヒテ、シェリング、ヘーゲルにおける複数の哲学説のアンチノミー状況をめぐる議論が現代哲学において持ちうる意義を、初期ハーバーマスの認識論を参照しながら明らかにすることを試みた。
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