2003 Fiscal Year Annual Research Report
関連集約型多角化企業における核技術の存在が果たすメカニズムについて
Project/Area Number |
03J08492
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
藤原 雅俊 一橋大学, 大学院・商学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 多角化企業 / 中核技術 / 事業間技術転用 / 生産技術 |
Research Abstract |
本年度前半には、セイコーエプソンにおいて事業間の技術転用が効果を生み出すメカニズムを明らかにすることを目指した。その上で、そのメカニズムを仮説として、組織学会春季大会大学院生セッションにて研究報告を行った。 そこで明かとされたのは、セイコーエプソンでは二段階の事業間転用プロセスを経ることにより、よりスムーズかつ効果的な転用が実現されたということである。具体的に述べれば、ウォッチ事業で蓄積された精密プレス加工技術がプリンター事業で高い効果をもたらしたのは、インクジェットプリンター開発においてであった。しかし精密プレス加工技術がインクジェットプリンター開発に貢献するまでの経路を辿ると、最初はインクジェットではなく、ドットマトリックスプリンターの開発プロセスに一度、精密プレス加工技術の転用が行われていたのである。すなわち、ドットマトリックスプリンターに携わることで精密プレス加工技術が技術的学習を遂げていたからこそ、インクジェットプリンターの開発プロセスに貢献できたのであった。 このプロセスは、実はセイコーエプソンでもう一度確認されるプロセスである。それは、プリンター事業で蓄積されたインクジェット技術がディスプレイ事業へ事業間転用されるプロセスにおいてである。このプロセスでも先述のように、インクジェット技術が高い効果をもって転用されている転用先が、有機ELディスプレイであった。しかしながらその転用経路を辿ると、インクジェット技術はまず最初に液晶ディスプレイ用カラーフィルターへと転用されていたのである。 こうした転用経路の詳細は、伊丹・西野編(2004)「ケースブック経営戦略の論理」に掲載される予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 藤原 雅俊: "利潤圧縮メカニズムと産業の労働集約性"一橋論叢. 第131巻5月号(未定). (2004)
-
[Publications] 藤原 雅俊: "リコーの業績回復メカニズム:事業間技術転用による事業内技術転換の推進力としてのトップマネジメント"経済経営学研究. VOL.24-4(未定). (2004)
-
[Publications] 一橋ビジネスレビュー編集部: "ビジネスケースブック3"東洋経済新報社. 283 (2004)
-
[Publications] 伊丹 敬之: "ケースブック 経営戦略の論理"日本経済新聞社. (2004)