2004 Fiscal Year Annual Research Report
北タイの水資源管理に見る共同体の変容と住民参加型開発
Project/Area Number |
03J08543
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
東 智美 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 共同体 / 水資源管理 / 住民参加型開発 / タイ |
Research Abstract |
ポリティカル・エコロジーおよび資源論に関する文献の整理を行ったうえで、タイを訪問し、タイの農業・灌漑政策に関する文献および統計資料を収集するとともに、タイ北部チェンラーイ県パーン郡においてフィールド調査(「北タイ農民連盟」の役員への聞き取り及び同団体主催のワークショップへの参加、水利組織のリーダーおよび組合員への聞き取り)を実施した。政府主導の大規模な灌漑システムが拡大する中、住民主体の水利組合は自治体の開発資金など様々な外部資源にアクセスすることでシステムを維持する試みを行っている現状が明らかになった。 ポリティカル・エコロジーの視点から、フィールド調査で観察された各アクターの思惑や行動が「伝統的」な形態の灌漑システムの盛衰とどのように関わるのかについて分析を行うとともに、灌漑堰という人工物の構造が変化した時、資源管理のあり方がどのように変化するのかについての検証を行っている。また、2005年中に施行されると見られる水資源管理に関する法律が、住民組織主体の灌漑システムおよび政府主導の灌漑システムの運営に与えるインパクトについては、2005年度の研究課題としたい。 研究成果の発表として、第一に、日本タイ学会が発行する『年報タイ研究』(No.4,2004)に論文(「水資源管理における住民組織の役割-北タイのムアン・ファーイ・システムに関する一考察-」)を発表した。第二に、調査地であるタイ北部チェンラーイ県パーン郡において、「北タイ農民連盟」主催のワークショップの場で、研究報告を行った。 また、東京大学大学院新領域創生科学研究科の資源論研究会に参加し、北タイの住民組織主体の灌漑システムに関して「人工物の構造と資源管理のあり方」という視点から報告を行うとともに、参加者と資源論の系譜と東南アジアの水資源管理のあり方に関する共同研究に取り組んでいる。
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Research Products
(1 results)