2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルジ体構造タンパク質の細胞生物学的、生化学的手法による機能解析
Project/Area Number |
03J08586
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 信一郎 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゴルジマトリックス / GRASP65 / MAPキナーゼ / 細胞増殖 |
Research Abstract |
哺乳動物細胞のゴルジ体は層板構造を形成しているが、その形成と維持に機能する重要な因子としてGRASP65(Golgi reassembly stacking protein 65)が知られている。細胞分裂期にはゴルジ体は分散するが、このときのGRASP65のリン酸化修飾がその構造変化をもたらす要因になっていると考えられている。 今回、HeLa細胞を用いたパルス・チェイス実験を行う過程で、チェイス後にSDS-PAGE上でGRASP65の分子量のシフトを認めた。アルカリホスファターゼ処理や種々のGRASP65欠失変異体を用いた解析により、このシフトは277番目のセリン残基(S277)のリン酸化修飾に起因することを確認した。さらにこの箇所に対する抗リン酸化ペプチド抗体(PS277)を作製し、その抗体を用いた間接蛍光抗体法による解析を行った結果、ゴルジ体にそのシグナルが認められた。細胞に対し、血清やEGF刺激を与えると、ゴルジ体でのPS277抗体によるシグナル強度の上昇が観察された。このシグナル強度の上昇はMEK1,2の特異的阻害剤であるU0126存在下で抑えられた。次に精製GRASP65に対し試験管内リン酸化反応実験を行った結果、S277部位はMAPキナーゼファミリーの一員であるERK2によってリン酸化されることがPS277抗体を用いたイムノブロット法によって確認された。これらのことから、S277のリン酸化には少なくともERKが関与していることが示唆される。現在このリン酸化修飾の意義について解析を行っている。
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