2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゴルジ体構造タンパク質の細胞生物学的、生化学的手法による機能解析
Project/Area Number |
03J08586
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 信一郎 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゴルジ / マトリックス / GRASP65 / リン酸化 / MAPキナーゼ / CDK1 / PLK1 |
Research Abstract |
ゴルジ体の機能はタンパク質の選別の場であり、また小胞体から送られてきたタンパク質はそこで糖鎖等の修飾の場である。この機能についてはよく知られているが、それ以外に近年、ゴルジ体の機能について細胞分裂調節等の様々なシグナル伝達の場であることが示唆されている。例えば、MAPキナーゼやCDK1等のリン酸化酵素がゴルジ体に局在すること、これらの基質が細胞内の様々なイベントに関わることが明らかになっている。 GRASP65というタンパク質について代表者は研究を進めてきたが、このタンパク質が細胞周期の間期にリン酸化を受けること、また分裂期にはさらに高度にリン酸化されることを突き止めた。また、間期、分裂期を通じて、共通してリン酸化されるセリン残基を特定し、この部位のリン酸化は間期においてはMAPキナーゼが、また分裂期にCDK1/CyclinBによってされることを明らかにした。 GRASP65はゴルジ体の層板構造を維持する「ゴルジマトリックスタンパク質群」の一つである。GRASP65のリン酸化が細胞分裂期におけるゴルジ体構造分散化の引き金になることを示唆する報告が他より出た一方、我々のグループはこの部位のリン酸化がGRASP65とpolo様キナーゼ1(PLK1)の結合に重要であることを示唆する結果を得た。 またこれらの二者の結合が細胞分裂期の進行に必要である可能性を示唆する結果を得た。 CDK/CyclinBの阻害的調節因子として知られているMyt1がゴルジ体に局在しており、さらにPLK1の基質となること、PLK1によるリン酸化がMyt1の細胞内局在に影響を与える等の論文報告、学会発表がなされており、現在、GRASP65がゴルジ体の構造維持としての機能の他、PLK1I-Myt1-CDK1と続くリン酸化カスケードの足場として機能していると考えられる。
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