2004 Fiscal Year Annual Research Report
瞬目反射条件付けを行動指標とした脳高次機能のシナプス・分子基盤解明へのアプローチ
Project/Area Number |
03J08589
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岸本 泰司 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 瞬目反射条件付け / 連合型運動学習 / シナプス可塑性 / 細胞特異的遺伝子改変マウス / 記憶想起・保持・消去機構 / NMDA受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体 / 非空間的海馬依存性学習「国際研究者交流(米国)」 |
Research Abstract |
研究代表者は遺伝子改変マウスの学習評価系として、瞬目反射条件付けの新しいパラダイム(痕跡課題、潜在抑制課題)を初めて確立し、一貫して連合型運動学習の分子機構の解明を目指して研究を行ってきた。現在、小脳および海馬依存性記憶の成立に必要な機能分子あるいはシナプス可塑性を解明することを目標に、主に以下の2つの実験系のもとにプロジェクトを遂行中である。 (1)部位特異的遺伝子改変マウスを用いた行動実験 (2)課題施行中のマウス海馬ニューロンからマルチユニット記録を行うことによる、海馬依存性記憶の成立過程におけるニューロン活動の解析 本年度においては、プルキンエ細胞特異的に代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1b)を発現させたミュータントマウス(mGluR1bレスキューマウス)の運動学習解析を行い、その学習能力が顕著に損なわれていることを明らかにした。これはmGluR1aレスキューマウスが正常な運動学習を呈する(Kishimoto et al.,2002)という結果と対照となるものであり、運動学習の分子基盤をなす細胞内シグナル伝達にHomer/Veslが重要な役割を担っていることの示唆を得るものとなった。また所謂Tetトランスジェニックマウスの解析も始めている。これは、テトラサイクリン遺伝子発現誘導(Tet-On/Tet-Off System)を用いて、生きたままの状態での特定遺伝子の発現解析をおこなおうとする手法である。この系を用いることで、ある特定の学習過程にのみ遺伝子の発現を失活させ、その遺伝子発現が学習の獲得、保持、想起、消去といった記憶の素過程にどのような役割を担っているかを詳らかに解析している。
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