2005 Fiscal Year Annual Research Report
瞬目反射条件付けを行動指標とした脳高次機能のシナプス・分子基盤解明へのアプローチ
Project/Area Number |
03J08589
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岸本 泰司 金沢大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 瞬目反射条件付け / 小脳学習 / 小脳LTD / 海馬依存型学習 / 運動学習 / 海馬CA3野 / NMDA受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体(mGluR) |
Research Abstract |
瞬目反射条件付け(eyeblink conditioning)は、これまでヒトを用いた認知心理学・臨床医学的研究分野で多用され、特に近年は非侵襲画像解析技術の発展に伴って意識等の脳高次機能との相関について知見が集積しつつある。本研究は、この瞬目反射条件付けを一貫して遺伝子改変マウスにおける行動学的指標に据え、スライスパッチクランプ法およびtetrodeを用いた多細胞同時記録法等の電気生理学的実験を併用することで、意識・注意といった脳高次機能と記憶の獲得との関係を分子、シナプス、個体レベルの総合的解析から明らかにすることを目的としている。本年度においては、主に3つのテーマ、i) delay課題における小脳抑制神経回路の役割、ii) trace課題遂行中における海馬場所細胞活動の役割、iii) latent inhibition課題における海馬-側座核神経回路の役割解析を行った。具体的には、1)小脳抑制神経回路の時間記憶における役割、2)非空間記憶獲得における海馬ニューロンの関与、3)側座核、海馬破壊実験によるlatent inhibition課題への効果等を観察した。本実験による結果をふまえ、記憶、意識、注意といった脳高次機能について、その神経基盤をシナプス・分子レベルから記述するモデルを作成することができた。
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