2003 Fiscal Year Annual Research Report
西太平洋域における海生介形虫類(甲殻類)の進化学的研究
Project/Area Number |
03J08594
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 源吾 金沢大学, 自然計測応用研センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 西太平洋 / 新生代 / 介形虫類 / データーベース / 種分類 / 形態形質 / 機能形態 / 視覚器官 |
Research Abstract |
日本列島周辺域の介形虫相の地史的成立過程の解明に向けて,本年度は以下のような研究を実施した.まず,日本列島周辺でこれまでに記載された全介形虫種のデーターベース化(共同研究)をおこない,特定の分類群に着目し,おもに北陸地方,日本海および琉球海域において現生・化石標本を採取した.目的の標本を実体顕微鏡下で抽出し,SEM観察および切片観察を通じて形態形質データを抽出した.その結果として次のような成果が得られた.1.日本列島周辺で,これまでに記載された介形虫種はおよそ990種にのぼり,25年前になされたチェックリストと比較して,種数にして8倍の増加が認められる.また,タイプ標本のデーターベース化の際には,それぞれの文献から読み取れる限りの情報を明記し,また属名等の変更がなされているものについては,原記載まで遡れるように工夫した.2.現生および化石記録が豊富な分類群に着目して,軟体部も含めた分類学的再検討をおこなったところ,近縁な種間では,付属肢の節の数や剛毛の本数は一致するが,感覚孔の位置や数,表面装飾やクチクラレンズの形態にはいくらかの相違が認められる.これらの形態形質のうち,クチクラレンズを含めた視覚器官について着目し,新たに考案した包埋法(標本の変形を防ぎ,確実に視覚器官の切片が作製できる)を用い,ウルトラミクロトームを用いて薄切切片を得,視覚器官の形態情報を抽出することに成功した.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Gengo Tanaka: "Middle Miocene ostracods from the Omori Formation, Izumo City, Southwest Japan-Its implications for paleoenvironment of the Proto-Japan Sea-"Earth Science (Chikyu Kagaku). 57・3. 111-127 (2003)
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[Publications] Gengo Tanaka: "Morphological design and fossil record of the podocopid ostracod naupliar eye"Hydrobiologia. (発表予定). (2004)
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[Publications] 田中源吾: "石川県金沢市南部下-中部中新統砂子坂層から産出した介形虫化石群(予報)"日本海域研究. (発表予定). (2004)
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[Publications] 田中源吾: "節足動物の眼-5億年の光学機器の開発史-"実践生物教育研究会会報. (2003)
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[Publications] Noriyuki Ikeya: "The database of Japanese fossil type specimens described during 20^<th> Century (part 3)"Ostracoda. 95 (2003)