2005 Fiscal Year Annual Research Report
西太平洋域における海生介形虫類(甲殻類)の進化学的研究
Project/Area Number |
03J08594
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 源吾 静岡大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 節足動物 / 介形虫 / ノープリウス眼 / 機能形態 / ライト・スイッチ / 複眼 / コンピューター・シミュレーション / 光学 |
Research Abstract |
西太平洋域の介形虫類の進化学的研究について、本年度は以下のような研究を実施した。 まず、中生代から新生代に繁栄したポドコーパ目介形虫類の視覚器官の機能と形態の進化について、これまでの成果をまとめ、英国の国際誌に投稿した.本論文はまもなく出版される予定である。続いて、スウェーデン王国で野外調査を行い、微化石試料を抽出し、古生代に栄えたパレオコーパ目介形虫類の視覚器官の機能形態学的研究を行い、古生態の復元を行った。本成果については、昨年9月にドイツで開催された第15回国際オストラコーダシンポジウムで発表し、現在、共同研究者のデイビット・シビター教授(レスター大学)と論文として投稿準備中である。 また、申請者は2004年11月より約1年間、在外研究のためイギリスに滞在し、デイビット・シビター教授(レスター大学)やアンドリュー・パーカー教授(大英自然史博)らとともに、化石節足動物の眼の機能と進化に関わる研究をおこなった。この共同研究は、保存のよい白亜紀の甲殻類の複眼や新生代の昆虫の眼を扱い、さらにコンピューター・シミュレーションを用いて、それらの眼の機能を定量的に評価した世界に類を見ない研究である。これらの共同研究は現在も進行中であり、結果も着実に出てきている。 カンブリアの生物大爆発は節足動物の高解像度な眼(複眼)の獲得によって成し遂げられたという理論(ライト・スイッチ理論)が、共同研究者のパーカー教授によって提唱された。しかし、何が複眼の先駆者であり、初期の節足動物の眼がどのくらいの性能を備えていたかといった説明はなされていない。申請者は今後、これらの疑問を解決すべく、節足動物全体を対象として眼の機能形態学的研究を継続してゆく予定である。
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Research Products
(4 results)