2003 Fiscal Year Annual Research Report
バイカル湖湖沼堆積物と水文環境変動および流域過程・堆積過程の推定
Project/Area Number |
03J08597
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
落合 伸也 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バイカル湖 / 湖沼堆積物 / 物理特性 / 堆積プロセス / 数値シミュレーション / 水理実験 |
Research Abstract |
堆積・運搬プロセスを通じ気候変動が湖沼堆積物に記録されるメカニズムの解明を行い、長期気候変動の定量的推定を行うため以下の研究を行った。 1 湖流・堆積シミュレーション バイカル湖を対象とした、ナビエ・ストークス式に基づく湖流循環、河川から流入した土砂の堆積に関する数値シミュレーションを行った。その結果、湖内の平均流速は風速の増加に応じて増加し、湖上風が湖流の強弱に大きな寄与を持つことが分かった。また平均流速は、風の影響が遮断される湖面が結氷した状態では、非結氷時の百から千分の一程度になり、非常に弱くなることが示された。これらの環境下での湖内土砂運搬を計算し、堆積物の粒度分布変化を求めた。その結果、堆積物の粒度分布は、河川から流入する土砂の粒径・結氷の有無・湖上風の強弱を反映することが示された。 2 水理実験 河川水理量と流出土砂量・粒度の関係定式化のため、実験水路を用いた土砂運搬実験を行っている。長さ6m、幅15cmの可変勾配型のアクリル製実験水路、土砂回収用沈砂装置の製作を行った。現在は運搬土砂の採水・濃度測定法の開発を行い、実験を継続している。 3 堆積物コアの物理特性測定・自動チューニング手法の開発 バイカル湖から採取された堆積物コアBDP98の精密な鉱物粒子径、生物起源シリカ量の測定を行った。同時に、これらの物理特性変動を日射量の永年変動(ミランコビッチサイクル)に同調させる手法を用い(オービタルチューニング)、コアの年代を推定した。本研究ではこの作業を最適化計算によって自動化する手法を新たに開発した。BDP98コアの年代をこの手法により精密に推定し、堆積速度変化を計算した結果、25、35、70万年前に大きな環境の変化が起こっていたことが示された。これらの変化は、バイカル湖流域における地殻変動や気候ジャンプと呼ばれる汎世界的な気候変動を反映している可能性が考えられる。
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[Publications] Ochiai, S, Kashiwaya, K: "A conceptual model on sedimentation processes for hydro-geomorphological study in Lake Baikal"Long Continental Records from Lake Baikal. 297-312 (2003)